最新の直木賞受賞作品
今村翔吾さんの作品は、『童の神』と『羽州ぼろ鳶組』を少し読んだきりだけど、時代物としのリズムの良さ、読者に納得してもらえる…というより幸福感を覚えるまでもっていく力技に、若さと巧みさを感じていた。
そしてこの本!
読み応えあった~満足満腹で読了。
話は盾と矛、どちらが平和をもたらすことができるかというせめぎ合いが軸となってすすむ。
矛は、核の抑止力のような理論で最強の飛び道具を作る。
一方盾は、ひたすら守るために石垣を組む。
クライマックスは、関ケ原の合戦直前、京極氏の居城・大津城が舞台となる。
そこでは、領民と君主、師弟、ライバル、思い合う人達が魅力的に動いていて、殺伐とした戦いに彩を添える。
闘いのシーンでの書き方も、ドラマのカット割りのようで解り易くテンポよかった。
うまいなぁ・・・
盾と矛、どちらに軍配が上がったかは明確には言えないが、守ることに徹するほうが心が荒まないのは確かだ。
 

壮絶な戦いのシーンでは、いまウクライナで起きていることを重ねて思ってしまう。

ウクライナは徹底して守っている。

一方ロシアは自国の領内で戦っているわけではない。攻撃あるのみだ。

核のボタンすら握って全世界を脅しにかかっている。

こういう時に一番大切なのはウクライナ国民の意志だ。

たくさんの犠牲には心が痛むが、どうか負けないでほしい。

平和を踏みにじることが罷り通る世界は、あってはならない。

 

飛田匡介、ウクライナに守りの石垣を築いてほしい!