別れると決めたものの、
普通に別れ話を切り出したら
絶対に殴られる。
K太からのDVは、
それまで暴力とは
無縁で生きてきた私にとって、
何よりも恐ろしかった。
私がどうやって別れ話を
切り出すか悩んでいる間に、
いつまで経っても
仕事に就かない様子に
痺れを切らした父が
私とK太を呼び出した。
父「ここに来て随分経つが、
まだ仕事は決まらないのか?」
K太「…はい、探しているんですが
なかなか難しくて。すみません。」
父「そんな事をしている間に
子供も生まれてしまうだろう?」
K太「はい…すみません。」
父「もう沙耶に手を上げたり
していないだろうな?」
K太「もちろんです!」
父「沙耶、本当か?」
ちらりと顔を向けると、
私の方を睨んでいるK太と目が合った。
怖い。
でも、もうK太を庇えない。
この際だ。
全部、ぶちまけよう。
私「…嘘だよ。何回も殴られてる。
この前はお腹を殴られたから
慌てて病院に行ってきた…。」
両親が息をのんだのが分かった。
怖くてK太の方は見れないままに
話を続けた。
私「K太は仕事なんて探していない。
出かけるのはいつもパチンコ屋。
お父さんから貰った生活費も
パチンコに…」
言い終わらないうちに
K太が勢いよく立ち上がった。
そして、そのまま私の胸ぐらを掴んだ。
K太「何デタラメ言ってんだよ!
ふざけんなよ!テメェ!」
身体が宙に浮いた状態で
罵声を浴びせられる私を見て
母が悲鳴を上げた。
父の行動は素早かった。
一瞬のうちに駆け寄って来て、
K太の手をひねりあげたから、
私は解放された。
そしてそのまま、
父はK太を投げ飛ばした。
襖に激突したK太は、
私や父を罵倒する言葉を叫びながら
家から飛び出していった…。