イベントバナー

 



私の両親に挨拶したあと。




駅に歩いて向かう道中、

K太が口にした言葉は…




「沙耶ちゃんの親、

殴ってこなかったね!

でも良かったよ。

オレがやり返したら

死んじゃうかもしれないし(笑)」



「でもさぁ。娘を取られたのに

相手の男を殴らないなんてなー。

沙耶ちゃん、実は親から

愛されてないんじゃない?」



「沙耶ちゃんの家ボロかったね。

もしオレの家が金持ちだったら

きっとオレとは付き合えてないよ。

釣り合わねーもん。良かったね(笑)」



「息子が出来て嬉しいとか言われたのは

かなりムカついたわ。

オレ、婿入りする訳じゃねーっつの。」



「沙耶ちゃんの親が

アパートの金出してくれるから

超高い部屋探そう!」




それらの言葉全ては

私の中に僅かに残っていた

K太への幻想を、



完璧に綺麗に

粉々にしてくれた。



お父さんの気持ち。



何一つこの人には伝わって

なかったよ。



この人と付き合ったのは、

失敗だった。



痛い程実感した。




でも、もう戻れない。



妊娠してしまったんだから。



K太と結婚して

やっていくしかない…。



認めてくれた両親の為にも。




私はK太の酷い言葉の数々にも、

適当な相槌を打つだけだった。




私が言い返して

K太が機嫌を損ねてしまったら。



シングルマザーになるのは怖い。

両親も悲しむ。



だから、

私が唯一言い返せた言葉は、



「アパートの家賃は自分達で払うんだよ。

高いところなんて無理だよ。」



それだけだった。