イメージ 1個人経営の中華屋は「町中華」というらしい。
ネットで見つけて即注文し、ポストから出して
数時間一気に読み終えた。
匂いが漂ってきそうな写真とレポート記事だ。

コンビニやファミレス、居酒屋の登場以前に
青春だった世代にとって、街中にある中華屋は
「ビールと餃子」という街呑みの王者だった。
高い一品料理などには手が届かず、
もっぱら「野菜炒め」とか「レバニラ」あたりで
満足していた時代である。

店主の高齢化や、土地の整備、あまけにバブルの波も
あって、いつの間にか消えて行ったのが町中華だ。
この本で紹介された個人店はいずれも二代目や
三代目が守っている街の老舗である。
共通しているのは、地域に愛されて長生きしているということだ。
「くいものや」の存在価値はまさにそこにある。

「おいしい」「そうでもないけど」「まずい」・・・
味については十人十色であるから、これはグルメ本とは一線を画す。
あくまでも町中華を愛して止まないシロウトの5人が、
(教えたくないけど・・・)と思いながらも、仲間に言いたくなる店を巡る。
カラーの写真には、店構えと看板メニューと店主が紹介され、
インタビューとも雑談とも言える短いレポートで簡潔にまとめている。(全52軒)

彼ら探検隊が「三種の神器」と呼ぶのが表紙にもある
かつどん・カレーライス・オムライス だ。
中華でありながら、この洋食を出しているところに「町中華」独特の愛情がある。
背景には長い年月における 常連vs店主 の闘いも想像できて興味深い。

第2章には「町中華密集地帯を行く」というタイトルで、
「荻窪」 「浅草橋」 そしてなぜか 「堀切菖蒲園」 が載っている。
エピローグは、探検隊が飲食店専門設計家に「理想の町中華」について
あれもこれもと好みやこだわりを投げつけ、それをカラーパースに起こすという
おたのしみ企画で締めている。これが泣けてくるのだ。
店は31㎡の9.3坪、間口2間・奥行4軒の長方形で、
L型カウンターに6席、テーブル席3台、奥には小上がり4席がある。
店主手書きメニューや開店祝いの額、工務店寄贈の鏡や仕入れ先のカレンダーなど、
いちいち (うん!それ、あるある!) と読みながら声が出る。
そしてできあがったイラストがすばらしい!!
これはぜひ本で見て欲しいなあ~


たぶん・・・いずれは絶滅していくであろう町中華。
この探検隊レポートは貴重な資料となるに違いない。
いちばん近い所が浅草橋なので、まずは「お味見」に出かけようと思う。