今年のドラフト、大瀬良投手を引き当てた広島の「田村恵」スカウトが話題になっている。
競合指名でクジを引くのだが、球団スカウトがその箱に手を入れることはかつてなかった。
ハズレを引けば後で何を言われるか・・・それほど責任重大なクジびきなのだ。
今回、話題になった田村スカウトのコメントや写真を見て、彼が20年前のあの田村クンだった
ことを知り、何だかこっちまで感動に似た思いが湧いてきた。
 
 
彼は樟南高校(鹿児島)のキャプテン・捕手として甲子園を沸かせたあの選手だったのだ。
1994年、決勝で同じ九州の佐賀商業と最後の夏を戦い、そして敗れている。
この時の大会で私が一番注目した選手が樟南のキャッチャー田村クンだった。
メガネをかけたキャッチャーということが最初の印象で、その次は彼の動き方が目についた。
とにかくキビキビしていて気持ちがよかったのだ。
返球の早さも構えの早さもリズミカルで、試合の流れを自分のリズムで持ってこようという
キャプテンとしての気合が十分感じられた。
(この子はプロに来るかも知れないな~)と思いながら観ていた。
 
そして秋のドラフト。広島が6位で指名した。
新聞で全指名選手の中から田村クンの名前を発見した時は(やった!)と喜んだものだ。
ところが・・・
プロ8年間の通算成績は62試合に出場して、80打数16安打の打率2割ちょうど。
もっぱら二軍暮らしだった。
現役引退後は球団に残り、スコアラーを経てスカウトになった彼は地元九州を担当、
2010年のドラフト6位・中崎翔太や、2009年のドラフト1位・今村猛を見つけている。
今回の大瀬良投手は長崎日大高3年夏の県予選で、その今村に投げ勝った右腕として
当時から注目していたらしい。
彼が4年間熱い思いで追い続けた結果、今回の相思相愛1位指名となったのだ。
原石である大瀬良が磨かれて光るかどうかは未知数だが、
スカウトにクジを引かせた球団に入り、スカウトの愛情に応えて自分を鍛えることができれば
今村以上の活躍が期待できるだろう。
 
 
20年前のキャッチャー「田村クン」・・・
Youtubeにあの決勝戦全試合がUPされているのを見つけて視聴した。
やっぱり彼の動きはいいなあ~
しかし、プロ野球はセンスだけじゃダメな世界なんだ、と改めて感じた。
 
まあ今は、とにかく、あの田村クンの大金星を喜びたい。
そして、大瀬良のこれからにも注目したいと思っている。