金曜日の夕方、大きな花束を贈呈されたユリカ嬢は
 
たった一言だけ 「・・・・・おせわになりました・・・・・」 と
 
小さく吐き出して退職していった。
 
土曜日は3時まで出勤の日、おばはんたちの企画で
 
彼女を呼び出し、4時から送別会があった。
 
入れ替わりに入った若い女子2名の歓迎会も兼ねてらしい。
 
お疲れ様でした~
 
 
金曜日の帰りにユリカ嬢が近くに来てささやいた・・・
 
「赤ちゃんができました」
 
「そうか おめでとう。 いいタイミングだったね」
 
「そうですね。わたし昨日からタバコやめましたよ」
 
「そうか じゃあ 4月のライブは来られないかもなぁ~」
 
「でも体調がよければ行きますよ」
 
「ベースはお腹に響くよ」
 
「じゃあ わからないですね~」
 
「そうだね じゃあ またね」
 
「はい また」
 
これでロンググッドバイ。
 
 
土曜日は3時であがり、車で千葉へ。
 
母とカミさんを乗せて地域のスーパー銭湯へ行った。
 
北風の吹く露天風呂を一人で独占。
 
湯気の中で夕暮れの空を見上げながらユリカ嬢との3年を反芻した。
 
(いい子は辞めていくなあ)
 
(辞めてほしいヤツはいつまでもいるな)
 
 
義母を言い訳に誘いを断って露天風呂にいる・・・これも性分。
 
月曜からはウンザリの目盛が上がることは間違いない。
 
またひとつ時間が動いたことになるわけだ。