私は 中華 のファンです。そして フレンチや和食懐石などには全く興味がない偏食家です。
 
したがって街で見かける「個人経営の(ここがポイント)中華屋」にどうしてもカラダが反応する。
 
まず「のれん」だ。白地に赤い文字が定番の中華屋のれん。
 
多くは「ラ・-・メ・ン」や「中・華・料・理」だが、時として「タ・ン・メ・ン」や「湯・麺」に出会う。
 
この「タンメン」を謳っている店には弱い。どうしても足が止まり素通りできない。
 
食べる気もないのに近づいてサンプルケースやメニューの「商品と値段」を見てしまう。
 
基本の「ラーメン」はいくらなのか?
「チャーハン」はいくらなのか?
塩味の麺は他になにがあるのか?
一品料理は?定食は?カレーもあるのか? などなど、店の外でリサーチすることも多い。
 
 
街の個人店では「亭」とか「家」は屋号に出てくるが、「飯店」はまずお目にかからない。
 
多くは「漢字のみで2~3文字」だろう。いわゆる「幸楽」や「光華」などのアレだ。
 
ではなぜ「飯店」を名乗らないか?
 
個人独立店の主人の99%は若い頃にどこかで修行しているはずだが、
 
早く自分の店を持ちたいから修行の途中で店を辞め、街の中華屋になっていくケースが多い。
 
この修行先がちゃんとした(宴会料理もできる)「中華料理店」にいたことがある人なら
 
「飯店」を名乗る「資格」について判っているのだ。
 
それほどに中華を職とする人にとって「飯店」の二文字は大きくて重たい。
 
言い換えれば「飯店」を看板に掲げる店は「信用に足りる店」である。はずだった(今は不明)。
 
 
さて、マスメディアが「たかがラーメン」を「一品料理」として取り上げてから、
 
「街の中華屋」は多難な時代を乗り切らねばならなくなったと言える。
 
記憶では「TVチャンピオンのラーメン王」がハシリだったと思うが、局にしてもその後の
 
ブーム到来とその勢いは予想もしていなかったに違いない。 テレ東の罪は大きい。
 
中華屋にとってのラーメンの位置は「小腹を満たす間食」か「ハンチャンとセットで生きる」お供、
 
あるいは「カネのないリーマンや学生のごはん」というところであったはずだ。
 
(ラーメン?もちろんあるけど、腹いっぱい食って欲しいから野菜炒めや定食を食べなよ)
 
コンビニが出現するまでの中華屋はこういう「食事の提供役」を担っていた。
 
安い・早い・アツアツ・麺あり・米あり・炒めものあり・揚げものあり・焼きものあり と万能だ。
 
「ビールにギョウザね!」
 
この声を発したことのない世代・年代のヤツが¥800払ってラーメンを食っている。
 
おかしな話だが、中華屋がいなくなった街でも「ラーメン専門」はいくつもあるのだ。
 
調理しない、料理と言えない「たかがラーメン」だけが生き残っているのが不思議でならない。
 
もはや私の行ける範囲で 「ビールとギョウザ!」 はあるが、その後に続けたい
 
「野菜炒め ちょうだい!」 と声を出せる店はなくなった。実に悲しい。
 
 
会社の昼メシで行ける中華が2軒閉店して(病気と高齢)、今ではオバハンの通勤自転車を借りて
 
隣町まで走ってやっと1軒、普通の夫婦店があるのみだ。
 
しかしここでも「生き残り」をかけて「カツドン」「カツカレー」「アジフライ」「オムライス」なんていう
 
文字が壁に貼り出されている。オヤジの葛藤とちょっとの悲しさがその文字に隠れている。
 
ここのオヤジの意地は「うちはハンチャンないよ。二人でひとつ取って分けなよ」に見える。
 
手間やコストのことじゃない。料理人にとって「半OOO」はハンパの半なのだ。
 
だからここのチャーハンはうまい。自転車で行く価値が充分にある。
 
ラーメンもうまい。ナルトも入っている。王道とも言うべき基本のラーメンだ。
 
しかし、白菜を仕入れていないから、五目や広東などの湯麺系はイマイチに堕ちている。
 
ここが悲しい。(キャベツでいいや)と誘惑に負けたオヤジの姿が見えるようで悲しい。
 
もはや個人の中華屋で「悲しくない顔」をしたオヤジ(&かみさん)を見ることはかなり難しい。
 
 
中華屋のオヤジなら誰でも判っている。
 
夜通し付き添って、手間と時間をかけた「スープ」には「勝てない」ということを。
 
だからといって、そこまでする気力も体力ももはやないのだ。
 
(オレはラーメン屋になりたかったわけじゃない) という気持ちもあるだろう。
 
毎日 晩飯に来ていた常連も年を取って足が遠のき、
 
家族で来ていた子供たちも一人前になって街から出て行き、
 
老いた夫婦は出前を取らなくなった。
 
若いヤツはコンビニで済ますか行列に並んで高いラーメンを食っている。
 
COOK DO など家庭用の一品料理も進化して うちよりウマイかも だ。
 
 
ああ、街の中華屋さん! がんばってほしい!
 
普通のラーメン 普通のチャーハン 普通の野菜炒め をどうか絶滅させないでください。