あたしは くしんぼ です。けれど、グルメ ではない。

心とからだに悪い「超高級」や「超少量」および「超並んでる」ものは食さない。

いい仲間と「食」を介して いい時間が持てればそれでよろしい。

それが「おいしいね!」「うん、これうまい!」となれば、それがシアワセである。



食に、ある意味の拘りを持ったキッカケのそもそもの始まりは、子供の頃の食卓だ。

母は実家が「鮮魚・仕出」のこともあり、料理は上手いほうだと思っていた。

当時は近所の友人宅で夕飯をごちそうになることもよくあることで、そんなとき、

母の腕前と比較していた記憶がある。

もっとも、当時はどの子供も「いえしょく」しかないのだから当たり前だろうが。



「キッカケのキッカケとなった」子供の頃の母のメニューを挙げると・・・

ハンバーグ・チャーハン・すぶた・シュークリーム・からあげ・すきやき が印象深い。

なぜか・・・それは、それらがすべて「うそ」「にせもの」だったのだ。

大きくなって、街に出て、外食をしたときにすべての「うそ」がばれたのだった。



ハンバーグ・・・ロールキャベツの具をフライパンで焼いてケチャップで食べていたぞ。

チャーハン・・・挽き肉+たまねぎ+しょうゆ、これのどこがチャーハンだ?

        焼き豚+ねぎ+なると+たまご、だろが。

すぶた・・・・・小間肉+にんじん+たまねぎ+ケチャップ+しょうゆ、どこが酢豚??

        肉は揚げてない、酢は使ってない、スライス人参ときたもんだ。

シュークリーム・・これはいまでも「コワい」思い出なので書けない。

からあげ・・・・鶏肉をただただ揚げただけの「空揚げ」だった。味付けナシ!

すきやき・・・・小間肉+糸こんにゃく+とうふ+たまねぎ+春菊+ちくわぶ、だ。

        味はしょうゆ+さとう+みりん、照り焼き かよ!


恥もかいたし、ショックも受けた、が、このおかげで「食材」や「調理」方面に大きく

引き寄せられ、卒業後に迷わず飲食業界へ突入したのだった。



いまにして理解できる。

当時の我が家は祖父祖母両親と3姉弟の7人家族だった。

祖父は嘱託で何かしていたが、株や競馬など趣味三昧で家計の足しにはならず、

7つの口に入るものすべては父ひとりの稼ぎに頼っていたようだ。

食べざかり、育ちざかりの子供に(あれを食べさせたい)(これも食べさせたい)と

一年中ひたすら(食べさせたい)一念だったと今にしてわかる。

それがその当時の庶民の家庭の母親の一番の「願い」であったような気がする。



経済的に手に入るものでなんとか工夫しながら食べさせてきた歴史がそこにある。

名前なんか「どうでもいい」のだ。

「おかあさん、これ なに?」って聞かれたから「ハンバーグよ」って答えたまでだ。



いまにして思う。

にせものメニューを腹いっぱい食べてきたおかげで、今日まで入院なしに生きてこられた。

にせものには「ほんものの母の愛情」がぎっしりと詰まっていたのだ。

しあわせな時代にしあわせな貧乏暮らしだったことが何よりのしあわせだ。