人間の体を解剖してみると、骨格であるガイ骨が残ります。

ガイ骨は、そのままでは立つことができず、風にあたるだけでバラバラになってしまいます。

そのガイ骨を支え、ばらばらにならないようにつないでいるのが靭帯です。

そして、その骨組みを動かすのが「筋肉」です。


脊髄損傷で下半身マヒになったり、首の骨を折って四肢マヒになると神経が切れます。

その結果、手足の筋肉は全く動かすことができなくなります。

こうしたことから、筋肉が収縮し力を出さないことには関節が動きません。

立つことも歩くこともできないわけです。


1つの筋肉は、1つの関節だけ動かすことに関係していたり、2つの関節を動かしたりします。

関節が動かないと、一歩も前に進むことがもできません。

モノをつかんだりすることもできません。

もっと極端に言えば、心臓も筋肉が収縮と弛緩をくり返し続けることで、私たちの生命が維持できているわけです。

この活動力が弱くなったり、おかしくなると心臓病になったり、活動が停止すれば二度と戻すことができずに死んでしまいます。

心臓も適度な刺激を与え、運動させないと他の筋肉と同様に弱くなってしまいます。

階段を昇っただけで、ちょっと走っただけで息切れがして、ハアハア、ドキドキするようだと、心臓が弱ってきている証拠です。


筋肉は使うためにあります。

すなわち体は動かすためにあるのです。

何もしないよりも適度に刺激を与えて筋肉を使う方が、筋肉の自然な退化を遅らせることができます。

しかも筋肉を使いすぎても消耗することはないのです。


適度な刺激で、筋肉はいつまでも丈夫で頑丈な状態を維持することができます。

関節がスムーズに動かせなくなったり、大きな力が出せなかったり、すぐに疲れてしまうのは、活動を続けるエンジンである筋肉が弱っている証拠です。

ガイ骨をみてわかるように関節が単独で動くことはあり得ません。

関節を動かす筋肉をバランスよく鍛え、柔軟性をもたせることが大切です。

いつまでも若く、行動的な生活を送るには、柔らかくて弾力に富んだ筋肉を持ちつづけることが条件なのです。

運動が健康維持に不可欠という理由の一つは、そこにあります。



井ノ原啓貴(整体師)