まず特記せねばならないのは、とにかく画質が汚いこと。
これは残念でしょうがない。ヴィデオの方が断然画質が良いのです。
どうしてこういう粗雑な仕事をするのか、制作会社の神経を疑うところです。
しかし、それでも、この作品は観る価値があり、
昔ながらの黒人音楽の持つ現代性、楽しさ、
圧倒的なパワーを感じ取るのに恰好の教科書のような作品です。
この時60才を既に越え、
貫禄十分のB.Bキングと彼のビッグバンドがホストとなって、
目も眩むような豪華ゲスト達を迎え入れる趣向のライブ映像です。
グラディス・ナイト、エタ・ジェームス、チャカ・カーン、
アルバート・キング、ビリー・オーシャン、
彼ら新旧のソウル/ブルースのスター達と、
Dr.ジョン、ポール・バタフィールド、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、
エリック・クラプトン、フィル・コリンズと言った、
こちらもビッグネーム揃いの白人ミュージシャン。
彼らが全員参加で大ジャムセッションを繰り広げたり、
意表を衝く組み合わせで息の合った掛け合いを演じたりするのです。
このヴィデオが20才の私に与えた衝撃は、決定的なものだったと思います。
私の知る限り、
この人を越える女性ヴォーカルはいないと思えるグラディス・ナイトの
「Please Send Me Someone To Love」の情感や、
エタ・ジェームスとDr.ジョンが真ん丸な身体を揺すりつつ、
映画のワンシーンのような切ないデュオを披露する
「I"d Rather Go Blind」など、何回繰り返し観たことでしょう。
私の最初のハーモニカヒーロー、ポール・バタフィールドは、
このライブから数日後にオーヴァードーズにより帰らぬ人となりました。
エルモア・ジェームスの名作「The Sky is Crying」における
ポールのハーモニカとヴォーカルは圧巻で、
白人によるブルース表現の一つの到達を感じさせる感動的なパフォーマンスです。
海賊版並の粗悪な画質ですが以上のように、十分楽しめます。
我慢できない人は今すぐどうぞ。
いつか、オリジナルマスターからとった
然るべき画質のものが出ると信じられる人は
待ってみるのも一つの手だと思います。