80年代に何枚もの超弩級ヒットアルバムを放ち、
シングルヒットも連発したヒューイ・ルイス&ザ・ニュース。
一時期は至る所で彼らの音楽が流れているという状態でした。
私の音楽遍歴の中で、彼らが中心を占めたことはありません。
それでもレコードは持っていましたし、よく聴きました。
美しいコーラスワーク、誰でも口ずさめる作曲術、
シンセサイザーやホーンを有効活用した重厚なアレンジ・・・。
彼らのサウンドこそがアメリカン・ロックなのだという説得力がありました。
人気者の宿命というか、
彼らをして典型的な商業主義的ポップロックと揶揄する人も沢山いました。
しかし彼らはそんな軽薄なバンドではありません。
ブルース、ドゥワップ、R&Bをルーツとするヒューイ達のサウンドは、
ポップな装いの中にも、自分たちを育てた黒人音楽への敬意に満ちています。
「Four Chords & Several Years Ago」は
1994年発表の彼らの原点回帰とも言うべきカバーアルバムです。
古典的名曲の数々をさらっとやってみした、という風情で、
出来れば小さな箱でこのセットを演奏する
彼らのライブを観てみたいと思わせる佳作です。
「Going Down Slow」はリトル・ウォルターのヴァージョンに忠実なアレンジで、
ヒューイのハーモニカも冴えています。
迫力あるヴォーカルばかり評価されがちですが、
この人のハーモニカの腕前は相当なものです。
彼のハーモニカを全面フィーチャーしたブルースアルバムを
聴いてみたい!
私はかねてよりそう願っています。