50年代から活躍し、60年代にその知名度を不動のものにした
エヴァリー・ブラザーズ。
月日は流れ、今やドンもフィルも70を越えました。
どちらが主旋律か判らなくなるような完璧なコーラスワークと
美しいメロディで一世を風靡した彼らは、
ビートルズ、サイモン&ガーファンクル、ビーチボーイズら、
後に出てくる巨大な才能たちをも虜にし、絶大な影響を与えました。
このアルバムは同じように彼らに大きな影響を受けた
ポール・ロスチャイルドとジョン・セバスチャンがプロデュースした
彼らの名盤です。スプーナー・オールダム、ワディ・ワクテル他、
錚々たるメンバーが、嬉々としてバックを申し出て、渋くて泥臭く、
叙情味もたっぷりの素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

タイトル曲はジョン・セバスチャン作です。
おそらくは彼の最高傑作だろうと私は思っています。
シンプルなメロディですが、歌詞の深みと相俟って
その完成度は凄まじく、永遠に歌い継がれるべき名曲といえるでしょう。

生きることは寂しいこと。だからこそ物語は生まれるのだ。
一人一人の人生に一つ一つの物語…。
そういう歌です。
どうでも良いことでしょうが、作者のジョン、
そして素晴らしい歌唱でこの曲を歴史に残したドンとフィルに敬意を込めて、
この歌は私の涙腺に直に訴えてくる数少ないロックの一つだと、
ここに白状しておきます。