一度そのアルバムが好きになると、
何十回、何百回と繰り返し聴くタイプである私は、
いわゆる「数」とは無縁の音楽愛好家です。
色んな音楽を聴きますが、ブルースだけは
これまで聴かない時期というものがなかったジャンルで、
自分に一番合った音楽なのだと思っています。
という訳でコレクターではないとは言え、
それなりに大勢のブルース・ミュージシャンを聴いてきました。
一番好きなブルースマンは誰か、とよく訊かれますが、
いつも私は迷って結局答えられません。
一応誰かの名は挙げるのですが、その時々で答えが変わってしまうのです。
でも一番好きなブルース・ギタリストは?
の問いには躊躇なく「エディ・テイラー」と答える事が出来ます。
50年代には、ジミー・リードというシカゴ・ブルースのスターを支えた
最強の裏方ギタリストで、自身もシングルヒットを持つ人気者です。
しかしあくまでも職人気質の渋いプレイを身上としていますので、
ロッキンで派手なブルースが好みの人には
なかなか受け入れられにくいタイプでもあります。

このアルバムは、72年に録音されたエディの、初めてのソロ・アルバムです。
バックを務めるのは当時西海岸で若手の急成長株だった
フィリップ・ウォーカーのバンドです。当時エディは50才。
ギターのグルーヴ感もヴォーカルの艶もまさしく絶頂期を感じさせます。
50年代のものはヴィンテージ過ぎて、
というブルース初心者の方にもとても聴きやすい音でお薦めです。
このアルバムをきっかけに、ブルースの奥地への旅に出ませんか?