世界中の音楽ファンの度肝を抜いたその年に、このライブ・アルバムも発表されています。
オルガン、ドラム、ベースのトリオ編成による
シンプルでビートの効いたジャズ・ロック。
渋さに走らず、いかにも当時のブリティッシュっぽく
「怒れる若者」のテイストも湛えた迫力あるサウンドで、
音楽的にとても近い場所にいるジョージー・フェイムのファンは勿論のこと、
スモール・フェイセズやゼムなど同時代のビート・ロックの愛好家も
きっと楽しめるバンドです。
10年以上前、ラジカセで音楽を鳴らすことが許可されていた工場で
住宅用の洗面台を製造しながら、私は大音量でこのアルバムを聴いていました。
その現場は音楽好きが集まっており、なかなか好評だったものです。
「回る回る」
誰かが言いました。
その夏の日の作業は深夜にまで及び、暑さと業務用シンナーの匂いで、
私たちはふらふらでした。そこへ来てロイ・フィリップスのオルガンの分厚い音が、
疲れた脳をかき回すように響くのです。みんな酔っぱらったようになりながら、
細かい作業をミスしないように懸命でした。