ブルースという共通の音楽に耽溺していました。
意気投合した二人はバンドを結成、
白人による世界で最初の本格的エレクトリック・シカゴ・ブルース・バンド、
ポール・バタフィールド・ブルース・バンドの誕生です。1963年のことです。
バンドは、一世を風靡したと言って良い活躍をしましたが、
1968年、エルビンはバンドを脱退、ソロ活動を開始します。
今回ご紹介するアルバムは1975年発表の5作目に当たるものです。
エルヴィンは超絶テクニックを誇るギタリストでもなく、
ヴォーカリストとしても決してテクニシャンではありません。
しかし、突き抜けたような明るさと
ナチュラルな黒人っぽいフィーリングを持ったミュージシャンです。
作ったり演じたり技巧に走ったり、多少なりともぎこちなさが付きまとう
白人のブルースミュージシャン(最近はそうでもなくなりましたが)
の中に合って、その個性は貴重だと言えるでしょう。
「Juke Joint Jump」はブルースがダンサブルで
楽しい音楽であることを実感させてくれる良いアルバムです。
伸びやかなのです。
私は20数年前(この時期に出会った音楽の多さに自分でも驚きます)
少し年長のとてもギターの上手い友人からこのアルバムのLPを借りました。
五重塔が窓から見えるボロアパートで、
片目の黒猫と一緒にその人は暮らしていました。
私達は一緒にバンドをやろうと盛り上がり、
何度かスタジオでリハーサルもしたのでしたが、
活動は本格的なものにはなりませんでした。
事情があってその友人は故郷である東京に戻らなければならなくなったのです。
そういう類の頓挫を、おそらく世界中のバンド少年と同じく、私もいっぱい経験しましたが、
このバンドだけは続けてみたかった、という気持ちが未だに残っています。
そういう経緯があって、エルヴィン・ビショップを聴くと私は
この先輩ギタリストを思い出すのです。まったくの音信不通ですが、
今もまだギターを弾いていたら良いなと思います。