ヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」のサントラは、
若き日のライ・クーダーの、大きな才能が炸裂する素晴らしい一枚です。
映画自体、私は何度観ても飽きないほど好きなのですが、
この映画を観る度にどうしても聴きたくなって
レコードを引っ張り出す人がいます。
ブッチ・ハンコック。
テキサスを拠点にフラットランダースというバンドの一員として、
ソロ・アーチストとして64歳になる現在も歌い続けている
ベテランシンガーソングライターです。
ご紹介するのは89年に2枚組としてLPが出た初期ベスト盤です。
精選した、という言葉が実にしっくり来る良い選曲で、
通して聴くと彼の歌の滋養がじわじわ心に沁みて来る気がします。
基本的にはカントリー畑のミュージシャンで、圧倒的な
ボブ・ディランの影響下でキャリアをスタートさせた人でもあります。
歌い方などそっくりで、一瞬「ディラン?」と思ってしまう曲もあります。
「Wind"s Dominion 」「1981: A Spare Odyssey 」
「Like a Kiss on the Mouth 」など、作曲家としての力量を感じる、
くっきりとした輪郭のメロディの名曲をどうぞお楽しみ下さい。
青空、と書くより蒼穹、と表したい一種古風で、
しかも色あせない広がりを感じさせる人です。