ロス・ロボスは83年のデビュー以来、
自分たちの持ち味を生かし、
独自路線を追求し続けるロックバンドです。
権威や資本におもねらない骨太な姿勢を貫いています。

メキシコ系アメリカ人ならではの濃厚なラテン風味、
西海岸特有の緻密な音作り、
ブルース、ソウルのエッセンスを存分に吸収した
アメリカン・ロックの雄大さを併せ持つその作品は、
私の心を鷲づかみにします。

彼らがその本領を最も発揮するのはおそらくライブでしょうが、
スタジオ録音に於いても
常に知的な拘りを見せるアルバムを世に問い続けていて、
そこが偉いというか、大物だなあと感じさせます。

本作はプロデューサーにミッチェル・フルーム、
エンジニアにチャド・ブレイクという
黄金コンビを迎えて作られた90年発表の傑作です。
ブルースやラテンをルーツとするシンプルな土台に、
アバンギャルドでエキセントリックな実験性を絶妙に加えた
なんとも「ハンサムな音」です。
音楽人間として、男性として思わず憧れてしまうサウンド、
というわけなのです。