夕飯、出来合いのアジフライでした。




----




アジフライ食いながら、オヤジが。



「今日、電話がかかってきてよ。

 『オレだけど、携帯落としたから今から言う口座にお金振り込んでくれ』

っていいやがるんだ」





オレオレ詐欺である。





「おりゃぁ、すぐにオカシイと思ったな。 ピンときたな。 だから言ってやったんだ。

 『ウチのいさむは、電話して来るときはちゃんといさむですって名乗るんだ』

ってな。大きな声でそう怒鳴ってやったら、黙って切りやがったわ。 がはははは」




父、誇らしげである。


いつもニュースで被害者が増えつづけていると言っているが、

おれは引っ掛からなかったぞと、得意気であった。




でも。 おいらが。




「あのさ、『ウチのいさむは・・・』って言っちゃったら、次にかけてくるときは、

 『いさむです』って名乗って電話して来るぜ。だいじょうぶかよ?」




と指摘したら、





父、沈黙。




どうやら自分のおかしたミステイクに、気が付いていなかったらしい。

つい3秒前まで誇らしげだった顔が、みるみるションボリしていく。




そんな父を見て、母シゲコが慌てて口を開いた。


「そんなことないわよ! お父さんは、いさむのナマエなんか出してなかったわよ!

 わたし聞いてたんだから! ナマエ出さずに切ったわよね。 そうよね、お父さん!」




意気消沈する父を必死に励まそうとする、母シゲコ。



しかも励まし方が如何にもシゲコらしい。

『ナマエなんて言ってないわよ!』 と、当の本人に対して

嘘を浴びせ倒すことで、その場をムリヤリ丸く納めようとしていた。







続く沈黙。





そして。





「あ、・・・ああ。そうだったかな」





シゲコの圧力に負け、父まで偽証。





なんだか、モノスゴイ親不孝をしてしまったような気がしました。