火曜なのに2度目の来店。要するに皆勤賞。



いつものバーで。



「部長がさ・・・」



ターキーの水割りが入ったグラスを傾けながら、

苦笑いする飲み仲間。



「あの例のいきなりカツラかぶってきた部長ですか?」


「そう、いさむちゃん、あの部長がさ・・・」



ここ数ヶ月、割とホットな話題である。

とある会社の部長、誰もが一目置く存在が、ある日突然変身。



・・・ヅラ、かぶってる。



この事態に、その飲み仲間の会社が騒然としているらしい。

あきらかにヅラと分かる変化。でも本人はそこには一切触れず、

いつも通り、部下に指示を出す。てきぱきと。



仕事ぶりは見慣れたいつもの風景。


でも、頭頂部は普段とは違うシゲリ加減。フサフサ。



飲み仲間は、この事態をどうしようと嘆き、それがここ何ヶ月かで

かなりホットな話題になっていた。


悩む飲み仲間の表情を肴にして、

カウンターのみんな、酒を飲みながら自分なりの水のむけ方を語る感じ。


さりげなく、「部長、なんだか若返りましたね~」とか、


もっと直球で、「その髪型の方の方が素敵ですね」とか、



でも。


その飲み仲間からすると、部長のヅラ装着について、

どう本人に触れるかは、かなり切実な問題であるようであり、

笑い話にしながらも、どうしよう、と頭を抱える毎日みたいなのだ。



そんな折り。今日、カウンターにて。




「・・・で、その部長がどうしたんですか?」



興味津々で訊く、おいら。



「・・・いやね」


「はい」


「今度は脱いだんだよ」


「・・・へ??」


「だから、いきなり脱いだんだよ、何を思ったのか、一度つけたモノを外したんだよ、ヅラを」


「えー!」



ありえん。



「・・・にゃはは、冗談でしょ」


「冗談じゃねーよ、みんながどう接そうか悩んでいる間に、

また外しやがった。会社、水面下で大混乱だ」


「まじで・・・」



ヅラを装着して半年。誰も事態を収拾できぬまま訪れた新たな事態。

もとに戻るという予期せぬイリュージョン。マンガだ。マンガみたいだ。

「それって、気のせいじゃ・・・」


「間違いねぇよ、誰にでも分かる変わりッぷりなんだって。

 なんでンなメンド臭いことするんだか」


「お試し期間が終わったとか」


「・・・そんな意見も出たよ、部内そう然だからな」


「嫁さんに、取った方がいいわよって言われたとか。家族なら言えそうだし」


「そりゃあるかもな・・・でもおれらはどうすればいいんだよ?」



その悩みはなんとなく分かる。たぶんいたたまれない。



「きっと、ほとぼり冷めたらまた装着しますよ」


「そんな気がするな、もうなにがあってもおかしくない」


「次に装着するときに、なにか気の利いたことを言えばいいんじゃないですか?

 外したときにどうこういうより、やっぱりかぶったときがチャンスかなと」


「そういう意見も出たよ。でもな、じゃあ、いさむちゃん。

 おれらは部長になんと言えばよい、なんていや言いいんだ?

 教えてくれよ。散々会社で話したけど結論出ないんだよ」



おいらも悩む。

そしてそんなことを日がな真剣に相談している会社をある意味うらやましく思ったりもする。




ということで、日本中のヅラ愛用のみなさま、ネタにして大変申し訳ございません。

お詫びいたします。ただご本人と同じくらい、周りも悩んでいるらしいので、察してあげてください。


そしてこのブログを見ているオトナなみなさま。悩める飲み仲間によき回答をば、よろしゅう。





冬がはじまるよ。