『進歩は変化なり。 変化なくして進歩なし』


これだけ不況が続きますと、営利を目的に動いている組織である以上、やはり理念だけではなかなかに厳しい場面が多々あるのも確かです(組織にとって理念は最も大切ですが)。
得意先の数が増えたと言っても、業界全体が低迷を続ける現状で、例えば請求から支払いのスパンが伸びる、、、小切手だった支払いが手形に変わる、、、得体の知れない会社の手形がまわってくる、、、、、など、増える支出に対して収入はますます不確定要素を多く含むようになってきた、ということで、結局は全員の給料をこの4月分から減額したんであります。
苦渋の決断です。


自分が生業として身を置くこの業界でも、いわゆる 「御大」 と呼ばれるような超がつくほどのベテランのかたがまだまだ実権を握られ、ハバを利かせておられる場合がけっこうあります。
しかしながらそういうかたとお話しするにつけ、なんとなく当世の感情からはややズレたところで思考を巡らせておられるかたがいらっしゃるのも事実で、昔ながらの方法論と言いますか、自分はそれを全て否定する気はないのでありますが、若い頃から今まで己がやってきて成功してきたことを他人に否定されたくないという気持ちが働くのか、口ではソフトに語られても自己擁護、過去の自慢話、苦労話、などを今の若いヤツらは、と言わんがばかりに訥々と説かれる、、、。
で、最終的には業績の悪化を全て 「不況のせい」 にされる。
ご自分のされてきたことをちょっと見直して、少し変えていかれたら事態は好転するかもしれないのになあ、、、ともどかしく思う時があります。
今までうず高く積み上げてきた箱のタワーを、もう一度崩して中身を確認する、なんて作業は考えたくもないんでしょう。 その気持ちはよく解ります。


しかし自分は敢えて言いたい。
変化を恐れるなら経営から手を引くべきです。

ある会社の息子さんが、創業社長である父親に言いました。
「老朽化した社屋を全面改修したい」
社長は即座に答えました。
「そんなお前!今さら何を!!」

感覚のズレです。
社長には 「今さら」 でも、息子さんには 「これから」 なのです。

我々もそろそろ中堅と呼ばれる世代となってまいりました。
時代時代に臨機応変に対応できる感覚を、そして自分の後からやってくる後継の者の感覚にも理解を与えることのできる懐の深さを、今から身に付ける用意を怠ってはいかんな~、と減額した給料明細を眺めつつ思いました。
自分へのエールでもあった次第。
おわり。