今夜は仕事上のお客さんとメシでも食おう!ということになり、19時に京都駅でまち合わせた。
ビアホールでビールを飲みながら、仕事のこと家庭のことなど色々話す。
後半は専ら彼の「商い哲学」の聞き役になる。
21時過ぎにお開き。
なんだか気疲れした・・・。
少し時間が早かったので、飲み友達に電話でもして・・・・と思ったが、今日が平日であることを思い出し、どちらかというと朝型の生活をおくっている友人を多く持つ、非常に友達思いの僕は彼らを呼び出すのをあきらめ、ここはいっそ一人で軽く一杯飲みに行くことにした。
入ったのは小さなバー。
壁際にはアップライトのピアノが一台置かれている。
流れるBGMは・・・・・、おおっ!ビル・エヴァンスのピアノブルース!
僕は元来こういう所に一人で来てチビチビ飲む・・・というのはあまり得意でないのだが、すでにほろ酔いであったのとBGMの心地よさも手伝って、一杯だけ飲んだら帰るつもりがふと気付けば4杯目のバーボンを注文していた。いかんいかん・・・・。
御代の3700円を支払い、足早に店を出る僕。
見ると地下鉄がまだ動いている。
ラッキー!ここはせめて節約ぢゃ、とばかりに地下鉄に飛び乗った。
地下鉄を利用する時はいつも『鞍馬口』という駅で降りる。
僕の家はそこから歩いて15分くらいだ。
ラッシュ時をすでに過ぎたせいかどの車両も車内には乗客はまばら。
僕の向かい側にはサラリーマン風の中年のおっちゃんが酔っ払って座席端の手すりに寄りかかって居眠っている。
やだねえ~、酔っ払いは。
幾つめかの駅を過ぎた時、そのおっさんはおもむろに目を覚まし、こちらを凝視してきたかと思うと、突然辺りを見回して「・・・・・烏丸御池はまだれすくわ?・・・」と僕に聞いた。 烏丸御池は先ほど過ぎたところだ、と伝えるとおっさんは「ああ・・・寝てしもた・・・」とがっくりとうなだれた。
周囲からおっさんに向けてそそがれる冷ややかな視線。僕は内心、まるでいつかの自分を見るようで同情と哀れみの念を抱いたが、今の僕は違う。このように泥酔して降りるべき駅で降りられないなどというアホな痴態はもういい歳をしてあろうはずがないのだ。僕はもう昔の僕ではない。
このように愚の骨頂をさらしてしまった一人の大人の男を甘やかすのは社会通念上決してよろしくない。僕は心を鬼にしてその大人の男のため、他の乗客と同じく冷たい視線を送った。
そうしていると・・・おおっ、鞍馬口駅に着いたようだ。
僕は慌てることなく悠然と席を立ち、ドアのほうへ向かった。背筋は美しく伸びている。ホームに降り立ち、ゆっくりと歩きながらネクタイを少し緩めたりしてみる。うむ、我ながらクールぢゃ。フフ・・・。
エスカレーターで改札階へあがる。
改札を出る。
・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見覚えのない風景・・・・・・・。
しばらく立ち尽くして考える・・・・・。
・・・・・しまった!・・・やってしまった!!
僕は愕然とした。
どうやら酔っ払って鞍馬口駅の一つ手前の駅で降りてしまった!!!
僕は舌を噛んで死のうと思った。
仕方なくそこから歩いて帰った・・・・。
とても寒かった・・・・。
ヨレヨレになって帰宅した僕を待っていたのは、家人の冷たい視線だった。
ビアホールでビールを飲みながら、仕事のこと家庭のことなど色々話す。
後半は専ら彼の「商い哲学」の聞き役になる。
21時過ぎにお開き。
なんだか気疲れした・・・。
少し時間が早かったので、飲み友達に電話でもして・・・・と思ったが、今日が平日であることを思い出し、どちらかというと朝型の生活をおくっている友人を多く持つ、非常に友達思いの僕は彼らを呼び出すのをあきらめ、ここはいっそ一人で軽く一杯飲みに行くことにした。
入ったのは小さなバー。
壁際にはアップライトのピアノが一台置かれている。
流れるBGMは・・・・・、おおっ!ビル・エヴァンスのピアノブルース!
僕は元来こういう所に一人で来てチビチビ飲む・・・というのはあまり得意でないのだが、すでにほろ酔いであったのとBGMの心地よさも手伝って、一杯だけ飲んだら帰るつもりがふと気付けば4杯目のバーボンを注文していた。いかんいかん・・・・。
御代の3700円を支払い、足早に店を出る僕。
見ると地下鉄がまだ動いている。
ラッキー!ここはせめて節約ぢゃ、とばかりに地下鉄に飛び乗った。
地下鉄を利用する時はいつも『鞍馬口』という駅で降りる。
僕の家はそこから歩いて15分くらいだ。
ラッシュ時をすでに過ぎたせいかどの車両も車内には乗客はまばら。
僕の向かい側にはサラリーマン風の中年のおっちゃんが酔っ払って座席端の手すりに寄りかかって居眠っている。
やだねえ~、酔っ払いは。
幾つめかの駅を過ぎた時、そのおっさんはおもむろに目を覚まし、こちらを凝視してきたかと思うと、突然辺りを見回して「・・・・・烏丸御池はまだれすくわ?・・・」と僕に聞いた。 烏丸御池は先ほど過ぎたところだ、と伝えるとおっさんは「ああ・・・寝てしもた・・・」とがっくりとうなだれた。
周囲からおっさんに向けてそそがれる冷ややかな視線。僕は内心、まるでいつかの自分を見るようで同情と哀れみの念を抱いたが、今の僕は違う。このように泥酔して降りるべき駅で降りられないなどというアホな痴態はもういい歳をしてあろうはずがないのだ。僕はもう昔の僕ではない。
このように愚の骨頂をさらしてしまった一人の大人の男を甘やかすのは社会通念上決してよろしくない。僕は心を鬼にしてその大人の男のため、他の乗客と同じく冷たい視線を送った。
そうしていると・・・おおっ、鞍馬口駅に着いたようだ。
僕は慌てることなく悠然と席を立ち、ドアのほうへ向かった。背筋は美しく伸びている。ホームに降り立ち、ゆっくりと歩きながらネクタイを少し緩めたりしてみる。うむ、我ながらクールぢゃ。フフ・・・。
エスカレーターで改札階へあがる。
改札を出る。
・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見覚えのない風景・・・・・・・。
しばらく立ち尽くして考える・・・・・。
・・・・・しまった!・・・やってしまった!!
僕は愕然とした。
どうやら酔っ払って鞍馬口駅の一つ手前の駅で降りてしまった!!!
僕は舌を噛んで死のうと思った。
仕方なくそこから歩いて帰った・・・・。
とても寒かった・・・・。
ヨレヨレになって帰宅した僕を待っていたのは、家人の冷たい視線だった。