日本では、年間2万人を超える方々が、自殺で亡くなっています。
以前よりいくぶん減少しているとはいえ、非常に残念な数字であることに変わりはありません。
大切なご家族や身近な方を失くされた方もいらっしゃることと思います。
カウンセラーとして寄り添い、関わっていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると思います。
ホメオパシーのセッション(カウンセリング)においても、
死にたい
消えてしまいたい
というお悩みを語ってくださる方は、少なからずいらっしゃいます。
今日は、私が臨床を始めた初期にお会いしたクライアントさまのお話をさせていただきたいと思います。
その方は、大学に入ったばかりの女子学生さんでした。
実は、担任の大学教授から、ご依頼があったのです。
「うちのゼミに入ってきた生徒が、自殺願望が強くて、いつもリストカットをしているようだ。
何とかならないだろうか。
離島から来た学生で、親御さんと離れて暮らしているので、1人にしておくのがとても心配なのだ。」と。
まだ二十歳前の学生さんで、成績は非常に優秀、とてもまじめなお子さんだというお話でした。
私には荷が重いと思いましたが、誰かが支えになってあげなければ、という気持ちから、会ってお話を伺うことにしました。
お会いしてみると、本当に真面目そうな、大人しそうな方でした。
夏なのに、長袖を着ていらっしゃいました。
それは左手のリストカットの傷を隠すためだったようです。
時々、明るい笑顔も見せてくださるのですが、夜になると辛くて、衝動的にリストカットしてしまうとのことでした。
通常の慢性のセッションをさせていただきました。
その方の生い立ち、家族関係、友人関係、学校での様子、好きな科目、嫌いな科目、好きな言葉、モットー、趣味、特技・・・
子供の頃からの病歴、親族の方の病歴、食事(好きな食べ物、苦手な食べ物、時間、量など)、睡眠(眠る姿勢、睡眠時間、夢、睡眠に関する悩み)、天候(好きな天候・季節、苦手な天候・季節、温度、風、湿度・・)
いつものように、その方に関する、ありとあらゆることを伺いました。
どうやら親子関係に問題がおありだということはわかりましたが、その点についてどんどんとお話を深めてよい状況とは思えませんでした。
まずは、心を開いていただくことから、と思い、その後は一緒にお食事をする機会を持ちました。
次第に、スイーツが大好き、ということもわかってきましたので、大学の授業が終わってから、大学近くの喫茶店で、一緒にスイーツを楽しむ時間もしばしば持ちました。
(ひとりのクライアントさまのために、これだけの手間ひまをかけることは、ふつうはできません。私もまだ駆け出しで若かったからできたのでしょう。)
彼女は、少しずつ少しずつ、心を開いて話をしてくれるようになりました。
しかしながら、鬱の傾向があるので、時々授業を休まなければなりません。
そのため、医療機関に診断書をもらいに行く必要がありました。
まずは一緒に内科に伺い、そこで精神科の先生を紹介していただきました。
その精神科の先生は、非常に有名な方で、主に漢方薬を処方なさるのですが、ほかのものや、ホメオパシーレメディも、時々処方なさっていらっしゃいました。
彼女が持参したレメディ(私が処方させていただいた)をご覧になって、
「このレメディは、非常にあなた(女子学生)に合っている。
私からは何も処方しないから、あなたはこのレメディを飲みなさい。」
とおっしゃって、帰されたそうです。
それから、彼女の私への信頼度は、飛躍的に上がりました。
なにせ著名な先生のお墨付きでしたから(笑)。
おかげさまで、その後も彼女はレメディの服用を続け、連日のように行っていたリストカットは、激減していきました。
ここで少し、ホメオパシーのやり方をご紹介させていただきますね。
自殺する傾向
ホメオパシーのレパートリー(症状項目辞典)を見ると、100種類以上のレメディが載っています。
MindーSuicidal,disposition
精神 自殺の 傾向・気質
下位項目には、
ーknife-with a knife 12個のレメディ
ナイフで
ーthrowingーheight;himself from a 26個のレメディ
身を投げる 高い所から
ーriver;himself into the 3個のレメディ
川の中へ
ーwindows,from 23個のレメディ
窓から
・・・
などなど、たくさんの項目とレメディが並んでいます。
彼女のレメディは、きっとこの中にあるはずです。
セッションで伺ったお話と、自殺の傾向と、スイーツが大好きと、、、その他さまざまな症状をレパートライズして、候補のレメディをリストアップします。
ちなみに、スイーツが大好き、の項目には
GeneralsーFood and DrinksーSweetsーdesire 200個以上のレメディ
が載っています。
レパートライズをすると、何百種類ものレメディが上がってきます。
その中から、彼女に合うレメディをどんどん絞り込んでいきます。
そして、これだ!と思うレメディを服用していただくのです。
さて彼女は、半年ほどの間に、急速にお元気になっていかれました。
久しぶりにお会いしてみると、
「昨夜はカラオケボックスで徹夜をしました。」
とのこと。
どうやら、一人で朝まで歌い続けていたそうです。
最近は、時々そういう日があるのだと。
「ひとりカラオケで、大きな声で、好きな歌を歌いまくると、とっても気持ちがいいんですよ!
次の曲目をいれるのは(一人だと空き時間がなくて)大変だけど。」
と言って笑っていらっしゃいました。
その後、彼女は無事に大学を卒業して、実家へと帰っていかれました。
あの当時は、二度と戻ることはないだろうと思われた親御さんのもとで、今もお仕事を頑張っていらっしゃるようです。
以前、ある方(こちらも大学の先生)からこう言われたことがあります。
「ホメオパシーはいいわね。
私たち(研究者)は、論文を書いても、すぐには誰にも正解がわからないところがあるから、
研究者仲間から、認められるか、認められないか、
結果は数十年後にしかわからないこともあるのよ。
けれど、ホメオパシーは、目の前で結果が出るのだから、頑張った甲斐があるでしょうね。」
と。
私は、そのように考えたことはありませんでしたが、確かにそうなのかもしれないと思いました。
おひとりの方の人生を背負うような側面もありますので、もちろん大変な仕事ではありますが、クライアントさまがお元気にご卒業なさっていかれる時には、この上もない喜びがあります。
クラシカルホメオパシーの可能性が広く知られて、多くの方がその恩恵に預かれる日が来ることを、いつも祈っております。
海外では、ホメオパシーの診療に、カウンセラーの方のお力をお借りすることも多いと聞きます。
ホメオパスは、レメディの処方に力を注ぎ、
クライアントさまの悩みやメンタルのご相談は、カウンセラーの方が受け持つという連携的な役割分担ができれば理想的です。
スクールカウンセラーとホメオパシーなども、体制として整う日が来ると、多くの方たちのお役に立てるのではないかと、夢を描いております。
クラシカルホメオパシーの診療を経て、人生が180度変わる方も少なくありません。
皆さまとクラシカルホメオパシーの素晴らしい出会いを祈りまして。
クラシカルホメオパシーのレメディは、
自然治癒力を刺激するだけのものですが、
海外では、正式に医療として認可され、
医療現場で広く用いられているものです。
副作用がなく安全で、
お子さま、妊婦さま、ご高齢の方まで、
皆さまに安心して服用なさっていただけます。
お薬との併用も可能です。