iPS細胞は12年目のSTAP細胞なのか?/エピジェネティクスの機序を解明すべし! | bluerose-is-ephemeralのブログ

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近年になって、ついに「青い薔薇」の開発成功が伝えられました。この世にないもの、と云われてきた「青い薔薇」。
あなたにとっての「青い薔薇」とは何か、本ブログを読んで、ぜひ見つめて頂きたいと思います。――それは本当に美しいですか?

【投稿者コメント】


【キーワード】

[階層構造に注目せよ]、[細胞分化の機序は]、[エピジェネティクスだ]


【件名】

「iPS細胞は12年目のSTAP細胞なのか?/事物は「状態遷移=相転移」的、「多層構造」的に捉えるべし/ワンプロセスに拘泥すると失敗する!/エピジェネティクスの機序を解明すべし!」


【投稿本文】


【1】iPS細胞は12年目のSTAP細胞なのか?


「iPS細胞に問題あり?/成体細胞は、胚の細胞と全く同じ状態には再プログラム化されないようだ」(Nature 2011年2月3日)
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v8/n4/iPS細胞に問題あり?/36506

 に依れば、

『成体細胞の分化時計を戻して作られる人工多能性幹(iPS)細胞は、ES細胞と同様の遺伝子発現パターンを示し、どちらの細胞も、どんな種類の細胞にも再分化出来ると考えられている。しかし、今回、DNAの塩基配列はそのままで遺伝子発現が変化する「エピジェネティックな変化」のパターンが、iPS細胞がES細胞と同じではない事が明らかになった。これに依り、iPS細胞が、ES細胞の代役として疾患のモデル作製や治療に用いるのに適さない可能性も出てきた。』

 と、2011年2月3日のNature誌上で、iPS細胞の「疾患のモデル作製や治療への適用」を否定する報告がされているのにも関わらず、2012年に、「成熟した細胞を多能性細胞にリプログラム出来る事を発見した」為と云う受賞理由で、ノーベル賞を受賞している点は不可解だ。

 さらに、

「iPS細胞の10年/人工多能性幹(iPS)細胞は、医療革命の訪れを告げる使者だと考えられたが、その発見から10年経った現在、iPS細胞はむしろ生物学の研究を大きく変えるツールとなりつつある」(Nature 2016年6月16日)
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v13/n9/iPS細胞の10年/78044

 に於いて、2016年6月16日に、

『現在、ISSCR総会での発表から10年経ち、iPS細胞研究の目的は変化してきている。その理由の1つは、iPS細胞による個別化療法の開発が難しい事が分かってきたからだ。iPS細胞を使った治療法の臨床試験実施はまだ1件で、2014年に患者由来のiPS細胞が1人の患者に移植されたが、2015年に予定されていた2人目は見送られたままである。』と、2012年のノーベル賞受賞から、わずか、4年経過した2016年の時点で、iPS細胞に依る臨床応用への道は、ほぼ、閉ざされた事が報告されている。

 加えて、

『細胞の再プログラム化法の発見から10年経ったが、再プログラム化の過程が実際にどのように起こっているかは現在もよく分かっていない。iPS細胞の研究者らは、差し当たって、ゲノムや遺伝子発現パターンその他を調べる事で、細胞株の性質や安全性を系統的に確認する事に力を注いでいる。』と、2006年の「iPS細胞発見」の報告から、10年経過した2016年の時点に於いても、成熟した細胞から多能性細胞にリプログラムされるプロセス、メカニズム(機序)さえもが解明されていない!

 2012年のノーベル賞受賞から、12年を経過した2024年7月28日現在も、日本でのiPS細胞の臨床試験は中断されたままだ。

 そう云えば、2014年4月9日に、当時の理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーが、「STAP細胞は、あります!」と記者会見してから、もう、10年経過した・・・


【2】事物は「状態遷移=相転移」的に捉えるべし/ワンプロセスに拘泥するな!


 『線状降水帯の集中豪雨被害を回避する為に、日本海の海上で集中降雨させる際に、①積乱雲の連続発生技術、②積乱雲の大規模・拡大技術、③積乱雲の停滞技術、④積乱雲の線状降水帯化技術(湿潤大気上昇・雨雲化→積乱雲群化→積乱雲群の線状化)は、無駄だ!⑤線状降水帯の一斉降雨技術_だけを実用化すれば、良いのでは?雨だけ降らせば、良いのでは?』と云う主張があるが、

 そう云う主張を「近視眼的、つまみ食い、早とちり」と云う!

 【実用化に必要な要素技術】だけを読んでのコメントはコメントに非ず!
 単なる、拾い読みのイチャモンだ!

 これから述べる事象のキーワードは、「状態遷移」、「相転移」と「多層構造」だ!

 物理事象や生命事象は、ひとつのプロセス変化、状態遷移に囚(とら)われずに、全部のプロセスを状態遷移と云う俯瞰的な、広い視点で捕(と)らえる事が肝要だ!

 又、多数のプロセス遷移(相転移)をひとつのプロセスグループ(群)と捉えて、さらに、それらのプロセスグループ(群)の塊をひとつ上の階層のグループと捉えて、さらに、その階層のグループの塊を、もうひとつ上の階層のグループと捉える・・・と云う様に、航空機の部品構成図の様に、物理事象や生命事象は、多層的に捉えないと、何も、疑問や課題は解明出来ない!

 ゆえに、気象制御を行う場合では、せめて、「海面からの水蒸気の蒸発」から「豪雨が海面に降り注ぐ」までの全プロセスの「状態遷移」、「相転移」と捉えて、解明し、実用化しない限り、「気象制御」は出来ない!

 さすれば、①積乱雲の連続発生技術、②積乱雲の大規模・拡大技術_の過程で、気流に回転力が付与されれば、「渦化→熱帯低気圧→台風」と云う「台風生成→成長・大型化→移動」のメカニズムと制御方法も解明される可能性が出て来る!

 そもそも、「雨を降らすには、航空機からドライアイスを雲へ撒(ま)けばよい!」などと、お手軽・近視眼的な事をせずに、気象を多層的・相転移的に捉えて、応用が効(き)く様に、人工集中降雨の手法やメカニズムを普遍的に、把握出来ておれば、台風を洋上で、人工集中降雨させれば、結果的に、台風のエネルギーを削(そ)ぐ結果になり、大型台風でも大型熱帯低気圧化出来て、台風被害を僅(きん)少化出来る!

 僅かな力で1個のドミノを倒すだけで、ドミノ崩壊が出来る様に、多層的・相転移的な手法を用いれば、僅かな資源・エネルギーで、ドミノ倒し的に降雨範囲や降雨量を拡大出来る手法があるはずだ!

 「急がば回れ!」で、ここは、「相変態=相転移」理論へ素直に戻って、「ドミノ倒し」と云えば、核融合じゃないが、「光誘起相転移」の様に、温度や圧力以外のパラメータに注目すると、・・・レーザー光で物性を変えて・・・相転移図を視て、何か、アイデアが湧いて来るかも知れない?


【3】事物は、近視眼的な、矮小な、「物の視方(みかた)」をするな!


 「科学」に近視眼的な、矮小な、「物の視方(みかた)」は、禁物と云うより、厳禁だ!

 この「科学」に近視眼的な、矮小な、「物の視方(みかた)」をした為の大失敗の事例が、「iPS細胞」研究だ!

 皮膚などに分化した細胞に、ある遺伝子を組み込む事で、あらゆる生体組織に成長出来る万能な細胞が「iPS細胞」だ!

 或る皮膚細胞に、色々な、遺伝子を混ぜ混ぜしてみたら、運良く、あらゆる生体組織に成長出来る万能なiPS細胞にたどり着けました!と云う、いわば、「山師的試行錯誤実験」の成果に他ならない!

 いわば、小学校の展示会で金賞の札が付いた、『小学3年生の夏休みの自由研究の宿題=「アサガオの色の研究」』の大人版だ!

 「iPS細胞」は、成熟した細胞を、多能性を持つ状態に初期化された「多能性幹細胞」で、再生医療や創薬研究に役立つと期待されていた。


【4】近視眼的な、矮小な、「物の視方(みかた)」をした失敗事例が「iPS細胞」研究だ!


 ところが、「iPS細胞」は、細胞の性質が安定せず、腫瘍化やがん化のリスクがあると云う致命的な欠陥が明らかになり、ノーベル賞受賞から、12年間以上も経過したのに、殆ど、臨床応用の成果は出ていない!

 iPS細胞の培養では、細胞に成長しきれない未分化の細胞が残ってしまう事があり、培養細胞を移植するとがん化するリスクがある。
 しかも、患者の細胞を使って実施した1例目の移植は費用が5000万~1億円ほど掛かったと云われており、iPS細胞を利用する再生医療の普及には程遠い状況だ!

 iPS細胞の作製は、染色体に遺伝子を取り込ませる方法や発がんに関連する遺伝子を使っているので、利用後のがん発症のリスクがまだ十分に解明されていない!

 細胞に導入された初期化因子が再活性化する事や、人工的に初期化因子を導入するので、元々の細胞がもつゲノムに傷が付く事でiPS細胞が腫瘍化してしまう。

 一方、「ES細胞」はがん化しておらず、染色体数の異常もない。長期の培養後も正常な状態を維持出来、ほぼ無限に増殖出来る能力と、体を構成するあらゆる細胞へと分化出来る能力を有する。

 ならば、「iPS細胞」なんぞは、放り捨てて、「ES細胞」を研究開発せよ!に成りそうなもんだが・・・

 一方、「ES細胞」は、他人の細胞から作られるので、免疫拒絶反応が起こるリスクがあり、他人の受精卵を活用する事で起こる倫理的な問題や、腫瘍化・がん化のリスクも叫ばれている。(どっちもどっち)

 「iPS細胞」に関しては、遺伝子を導入する行為自体がリスクであり、がん化する可能性や、不完全な初期化に依って、エピジェネティクス(*-1)異常が生じる可能性も指摘されているから、危険な「iPS細胞」なんぞは、再生医療には使えない!と云う見解もある!


【5】研究開発は「状態遷移=相転移」的な多層的な視点がないと進展・応用・成果は無い


 そもそも、「細胞分化」と云う、広い視野で捉えて、様々な種類の細胞になり得る「幹細胞」の研究では、「遺伝子変異」や「遺伝子発現機能」などの研究を進めないと、細胞が腫瘍化する可能性について解明出来ない。

 「iPS細胞」のノーベル賞の受賞理由は、「成熟した細胞を多能性細胞にリプログラム出来る事を発見した」為と云う。

 本来のノーベル医学賞受賞理由の、「多くの臨床成果を挙げた為」ではなく、単に、「成熟細胞から多能性細胞への初期化」と云う、ワン・プロセスを実行する手段を見出しただけだ!

 「幹細胞」の前駆状態から、正常な臓器細胞へ至る、「細胞分化」の全プロセス・全状態遷移・全「相転移」を明らかにした訳ではないから、細胞分化の過程での「遺伝子変異」や「遺伝子発現機能」や「腫瘍化」のプロセスは未解明のままだ!

 ゆえに、矮小な、ひとつのプロセス事象のみに関わる研究・開発は、無価値に等しく、或る特定条件の下で作られた、特殊な「多能性幹細胞」の「iPS細胞」は、とても、再生医療や創薬研究には、役立たない!

 これが、近視眼的な、矮小な、「物の視方(みかた)」をした「iPS細胞」研究と云う、大失敗の事例だ!


【6】「エピジェネティクス(epigenetics)」とは?


 ここで、【4】項の「エピジェネティクス」(*-1)に触れると・・・

 つまり、DNA上の塩基配列の上位階層に、エピジェネティクスと云う階層があり、その遺伝子配列が、機能的に作用するか否かをON/OFF制御する、「遺伝子発現調節機構」をエピジェネティクスと呼んでいる!

 この「遺伝子発現調節機構」は、DNAに対する「化学修飾」(エピゲノム)とも捉えられ、細胞分化のプロセス(過程)を示すメカニズム(機序)となっている。

 個体の発生や分化は、ゲノムDNAの塩基配列の変化ではなく、「遺伝子発現」の変化(ON/OFF)に依り引き起こされる。つまり、DNAに対する「化学修飾」(エピゲノム)が、臓器・組織毎に異なるので、様々な臓器・組織に分化出来る。エピゲノムが何らかの原因で変化すると奇形やがん、免疫・アレルギー疾患、代謝調節異常や精神疾患など、様々な疾患になる!

 つまり、細胞分化は、単に、人体構成の最下層の「DNA上の塩基配列」だけを視ていただけでは、解明出来ず、人体構成の階層構造に注目して、遺伝子配列の機能をON/OFF制御する、上位階層の「遺伝子発現調節機構」(エピジェネティクス)のメカニズム(機序)を解明・応用しない限り、「多能性幹細胞」から、正常な臓器細胞には、培養・増殖は出来ない!


【7】「エピジェネティクス」の制御機構は、「DNAメチル化」と「ヒストン修飾」だ


 エピジェネティクスでは、DNAの塩基配列は変えずに、後から加わった修飾が遺伝子機能を調節する制御機構となる。

 エピジェネティクスは、個体発生や細胞分化の過程を初めとして、重要な生命現象に於ける必須のメカニズムだ。エピジェネティクスの主要な制御機構は、DNAメチル化とヒストン修飾だ。(添付図1参照)



 これらのエピジェネティックな修飾が、何らかの原因で変化すると、様々な疾病につながる事が判っている。

 

【追 記】(2024年7月28日)

 尚、本投稿の記述の中には、いささか、きつい、やや、穏当を欠く様な表現もあるが、

 そもそも、iPS細胞研究には、「2006年のiPS細胞発見」~「2012年のノーベル賞受賞」~「2016年の日本でのiPS細胞の臨床試験の中断」まで、多額の国費・税金が投じられている。

 その総額は、「2006年のiPS細胞発見」~「2012年のノーベル賞受賞」まで、50億円/1年間X10年=500億円、「2012年のノーベル賞受賞」~「2016年の日本でのiPS細胞の臨床試験の中断」まで、500億円/1年間X4年=2,000億円、合計、約2,500億円程度と推定され(*-2)、

 臨床応用の成果は、ほぼ、零ゆえ、納税者の視方では、どうしても厳しい表現での評価とならざるを得ない!

 一方、「経産省/産総研」等の国費プロジェクトでは、毎年、厳しい「成果の審査」を受けて、次年度の研究予算額は、前年度の「成果の審査(目標達成率)」次第となる!

 さらに、産総研の国費プロジェクトの年度毎の「会計監査」では、予算執行額が例え、500円でも、それを立証する、領収書等のバウチャー・エビデンスの添付・提示を義務付けられているが、「iPS研究の成果が零」と云う現実を視れば、「iPS細胞研究プロジェクト」に於いても、その様な厳しい年度毎の「会計監査」が実行されて、予算全額が研究開発に使われたとは思えず、予算に群がる有象無象の輩共=禿鷹どもが食い散らかしたと云う疑いは消えない!(もっとも、「会計監査報告書」を読めば、疑いはすぐに氷解するが・・・)

 当該国費プロジェクトに於いて、なぜ、産総研並みの厳格な「成果の審査」がなされなかったのか、文科大臣や与党文科族議員の責任が追求されるべきだろう!

 iPS細胞研究に関しては、官房機密費、ノーベル賞選考委員会、証券会社、製薬会社等を巻き込む「黒い噂」を指摘する向きもあるが、これらを単なる、根も葉もない、誹謗中傷と切り捨てても、国費の予算執行に於いて、とても、相当妥当性のある適切な処理が断行されたとは、云い難い!

 ここは、予算執行責任者が、大規模損失額の「失敗プロジェクト」の責任を執るべきだろう!


(*-2)
「2006年の発見~2016年の中断までの固定予算」が50億円/1年間で、「2012年の受賞~2016年の中断までの特別増強予算」が500億円/1年間か