Short Story 「記憶」 ~第3話~ | 気まぐれニャンコと散歩道

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突然目の前に現れた美咲に似た女性

僕は一瞬にして、色んな感情が溢れだし、思考回路が停止した

茫然と立ち尽くす僕の方にゆっくりと彼女は歩み寄ってきた


確かに美咲に似ているが、彼女とは別人と言う事が解る

「もしかして美雪ちゃん?」


美咲には妹がいて当時まだあどけない高校生だった。

しかし、僕の前に立っている彼女はすっかり大人っぽくなり、髪型も声もその仕草も美咲にそっくりだった。

美雪はゆっくりと会釈した後私の隣に腰かけた


「お久しぶりです。お元気でしたか?」


「う・・・うん。」

不器用に返事をした僕の顔を覗き込む美雪の笑顔は美咲にそっくりで・・・

まだ動揺の隠しきれない僕は美雪の顔を直視できないでいた。


真っ先に聴きたい事ある

しかし、それを口にする事が出来ない。

しばらく続く沈黙の後に

「あ・・・あのさ、さっきの

  やっと会えた、探してたって・・・どうして?」


「私、今この街に住んでいるです。

  いつか和希さんに会えると思って」


「えっ・・・?」

美雪は意味深げに遠くを見つめながら大きく深呼吸をした。


「和希さんは、どうしてここに居るんですか?

  姉に逢いに来たんでしょ?姉との思い出に逢いに・・・」


核心を突かれた僕は自分の気持ちを偽る事が出来なかった。

美咲がこの街に居ない事は解ってる。彼女との思い出、記憶を未練がましくたどり引きずりながら生きてる事を見透かされている事を素直に認めた。そして、やっと美咲ともう一度話ができるチャンスを今、目の前にしている


「そうだよ・・・美咲に逢いたいんだ。逢わせてくれないか!」

僕は振られた男の恥も外見もかなぐり捨てて、美雪に頼み込んだ


「まだ姉の事、愛しているんですね・・・

   やっぱり和希さんに会えてよかった。」


美雪は悲しげに微笑み・・・

何かを決意したように真っ直ぐと僕の目を見つめ




「姉は、もうこの世には居ないんです」


そう告げると、唇を噛みしめて必死に涙をこらえていた。