米安全保障条約の改定署名から50年に当たる19日、両政府は

「日米同盟がアジア太平洋地域の平和・安定の維持に『不可欠な役』を果たしている」

と位置づけるとともに、安保協力深化のための対話強化をうたった共同声明を発表した。
オバマ大統領は同日、

「日本の安全保障に対する米国の関与は揺るがない」

との声明を発表した。


鳩山首相は「対等な日米同盟」を目指すと行っている。
それはいい。だが現状認識とその方法が間違っている。

そもそも「対等」と「対称」という概念の区別がついていないのだろうと思う。
この間違いは、かなり多くの人がおかしている。

アメリカが一方的に日本を守る義務を負う。
だから日米同盟は対等ではない。
というロジックはおかしい。単に対称ではないというだけだ。

軍事に相当の国力をかけ、かつ、毎月千人の自国兵士が死ぬことも甘受する米国社会と、日本では国民性が違いすぎる。また、両国では人口構成や国土の形態、周辺国の状況も全く異なる。こういう国同士では「対称」な軍事同盟より、より適した役割分担をした方が現実的だ。

実際、日米同盟、日米安保条約は基本的に対等だ。
日本とアメリカ双方が、もしやめたければやめて構わない。
双方にとってメリットがあるから続いている。

日本はアメリカの言いなりになるしかない。
日本は金だけ取られてアメリカのポチにされている。
だから対等ではない。

というのはおかしい。
日米安保条約には、日本がアメリカに従属すべしという条項はない。
そう見えるのは、日米安保条約にある「事前協議制度」が有効に働いていないからだ。

日米安全保障条約に関する交換公文(条約と効果はほぼ同じ)
「合 衆国軍隊の日本国への配置における 重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更ならびに日本国から行われる戦闘作戦行動(前記の条約第5条の規定に基づいて行われるものを除く。)のための 基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。」


事前協議などやらない方が、
米国は日本に余計な口出しされなくてすむ。
日本は米国のやることに道義的責任を共有しなくてすむ。
だからやらない。

現実には、日本は基地提供により米国の軍事力展開に多大な貢献をしており、また、最近では自衛隊が後方支援をおこなっているのだから、明らかに道義的責任を共有しているのだが、その現実に目をつぶっているだけだ。

ア フガニスタンにしても、イラクにしても、米軍の相当の部分の実質的な出撃基地は、日本だといわれる。「イフ」を語るのは本来意味がないが、もし日本が基地 提供をしていなければ、アメリカによるイラク攻撃は、先行したアフガニスタン攻撃による兵站負担を考えると、不可能だったのではないかと思われる。

運用上も対等な日米同盟を目指す、あるいは日米同盟を深化させるのであれば、制度を弄って余計な混乱を起こすよりも先に、まずは有名無実化している事前協議を活発化することから始めるのが道理だし、正道だ。

民主党の人たちは、現状分析より先に、これまで積み上げてきたものを全否定し、妙な先入観で突っ走るようだが、それでは物事は何もうまくいかない。