物事の始まりはいつだって突然だ。





うだつの上がらない高校3年生の夏休みあけ

何かする事もなければ、金もない。
彼女もいなければ、気になるあの子に連絡する勇気もない。



まもなく昼休みも終わろうかとする頃
廊下から呼び出しがかかる。




これが女子からの呼び出しならもっと高まっただろうが、現実はそんなに甘くない。




廊下に向かい、軽く一言二言挨拶を交わしたその直後、






「おれと一緒にバンドやらない?」







田辺駿一(シュン)からそう言われたおれは
彼の質問がまだ終わるか終わらないかぐらいのタイミングで食い気味で答えた。





「やろう!!」






ここからBLUE ENCOUNTのバンドの歴史は始まる。








個人的な話として
すこーしだけ時間を巻き戻そうと思う。





1987.11.7 鹿児島県は鹿児島市にて江口家の長男として生まれ、そこからまもなくして父親の勤め先もある熊本に育つ。







そこから、、、







いやいやココから話始めたら武道館までの道のり書きたいのに小学校卒業までしか書けなくなる。





少々割愛して、もう少し時間を進めよう。







話を中学は3年生まで進めることにする。

勉強が特に出来るワケでもなければ
出来ないワケでもない。


運動が出来るワケでもなければ
出来ないワケじゃない。


めちゃくちゃに真面目かと言われればそうでもないし
かといって不真面目に不良だったかと言われればそうじゃない。





つまりは、、







普通の人間だった。。






そんな中学3年生の江口は特にやりたいことも定まらず、



ただなんとなく就職率が良いから。
安定した人生になりそうだから。




そんな理由のみで電波高専(今は名前が変わって熊本高専)を受験する。





ちなみに威張るワケでもなんでもないが、
まぁまぁ合格難易度は高くかなり試験は難しかった。




たぶんこの受験前が人生で一番勉強した時だと思う。





その甲斐もあってかラッキーもあってか
なんとか合格。




進学先の高校が決まる。





ここまでの人生を紐解くなら紐解いたところで
埃ぐらいしか出てこないかも知れないし、
これから先の人生で音楽を、はたまたバンドをやっていく未来像など1ミクロンさえも感じさせないだろう。






ここからどうやって、どうなったら
ギター始めてバンドやって音楽にのめり込んでいくのか。




まだまだ序章も序章なのでやや完結に書いていく。




進学した電波高専という学校は
「校風が自由」だった。





制服もなければ、法の範囲を守れば特にしてはいけない事はない。




やらなくてはいけない事をしっかりやっていれば後はあなたのご自由に。




そんな学校。
そんな校風もあってか試験は鬼のように難しく、赤点が60点というもんだからいつも試験前はアップアップしていた。





そしてそしてそんな校風もあってか、それともそんな事は関係ないのか、
誰かが一冊持ってきた事をきっかけにいろんな漫画が大量発生した。




その大量の漫画の中にあった一冊。




それが私の人生を大きく変えた漫画


「BECK」


である。





話の流れからも分かるように音楽漫画、バンド漫画である。






なんの取り柄もないと思っていた少年が音楽にのめり込みバンドをやっていく物語。





中学の頃から漫画好きだった少年江口は非常にわかりやすく単純で、この漫画にとてもトキめいた。





そして単純明快な思考でこう思ったのである。





「ギター買おう」





今書いていてもそんな理由!?ってなるが
そんな理由でおれは音楽を始めた。





よく雑誌の取材なんかでも
「ルーツはなんですか?」

と聴かれる。




たぶん大抵の人は、
The Beatlesであったりジミヘンであったり
憧れの人物像がいて始めたりする事がほとんどだと思う。





おれは
「BECK」がルーツだ。



ギタリストのjeff beckでも、
シンガーソングライターのBeckでもなく、
漫画の「BECK」がルーツというヘンテコなやつだ。





まぁ初めた理由こそなんであれ
その一つのきっかけから、
将来安定を想定して描いた人生設計は
急ハンドルを切る事になる。






時も同じくして、その漫画を読み始めた事から前の席に座っていた高村佳秀(よっちゃん)と出会う。





彼はその時すでに軽音楽部に属していて
ドラムを叩ける事は知っていたので、
なんの気なしにこういった。



「ギター始めるけん、ちょっと弾けるようになったら一緒バンドやってよ。」



よっちゃんはそんな深く考えずに、
この機会に友達1人多く作っとくかぐらいのテンション感で



「いいよ!やろう!!」

と答えてくれた。






ちなみにこの時すでに軽音楽部に属していたよっちゃんとシュンはセブンスヘブンという厨二感バリバリの名を掲げてバンドをやっていた。





そしてギターが少しだけ弾けるようになった私は同じクラスのやつを半ば強引に引きずりこみスカイスクエアというこれまた厨二感バリバリの名でバンドをやっていた。




セブンスヘブン、スカイスクエア、
どちらのバンドにも属していたよっちゃんはその時よく板挟みになっていたものである。





まもなくして2つのバンドは解散することに。






高校3年生の夏休み、
なんでそんな事になったのか謎だが
シュンの家で、よっちゃんと3人でお泊まり会をする事になった。




たまたまか、必然か、
全員読んでいた漫画BECKの話題で個々のバンド論を挟みながら、何かに共鳴しあい共感しあい夜通し語り明かした。




そして夏休み明けの昼休み、
冒頭のシュンからの呼び出しに繋がっていく。



(続)







武道館本にはフルバージョンで乗っております

こないだ1日かけて朝の5時までかけて書き上げましたので、ぜひフルバージョンも見て欲しい次第です

よろしくです


そんじゃまた


ばーい