2021年を振り返っていていくつか心に強く残ったことがあるのでそれを書き留めておこうと思う。



©️Simon Richardson 



私は祖父母も両親も戦中を生き抜いて、戦後の日本で第二の人生を歩んだ人たちだったので、子供の頃から時々第二次世界大戦の話を聞いて育った。


当時海軍にいた父は、演習で「戦艦大和」や人間魚雷「回天」にも乗ったそうだ。


(*「回天」内部は兵士が一人やっと座れるスペースのみの人間魚雷。ハッチは内側からだけ手動で開閉できたが、脱出装置はなく、兵士が乗り込んだ後に下部ハッチと上部ハッチを外から完全に工具で閉めた。作戦の成功、失敗に関わらず、一度出撃したら戻ることは出来なかった。)


父から直接戦争の話を聞いたのは数回しか記憶がない。


上の話も母から聞いた。


でも、第二次世界大戦、特に海軍に関する新刊が出ると父は必ず買って読み、実家の本棚は何千冊という戦争関係の本で埋まっていた。

まるで図書館のようだった。


母も故あって、母の父親の仕事の関係で満洲にいて、1945年に当時のソ連軍の戦争捕虜となり、一年以上満州に留め置かれた。

広島と長崎に原爆が落ちて日本が戦争に負けると分かった瞬間、ソ連軍は日ソ不可侵条約を破って満州の地になだれ込んだのだ。


そんな時に犠牲になるのは兵士だけではなく一般人だ。


小説のようなすさまじい経験の後、母の家族ほとんど全員が奇跡のように出会って、アメリカ軍の貨物船で日本の下関港にたどり着いた。

だが、そのトラウマは今でも母の中に残っている。


祖父母、両親の話はいつか後世に伝えなければと思っている。



©️Simon Richardson 



イギリス人俳優/作家、マイケル・ミアーズが書いた台本は、「The Mistake – (あやま)ち」

原爆の元になる「原子核連鎖反応」を考案したレオ・シラードをはじめとして、原爆が落ちた瞬間広島にいた女性などが登場し、俳優二人で何役も演じて話を紡いでいく。


2019年から演出家のジャティンダ・ヴァーマ(ロンドンのナショナルシアターで、初めての非白人として活躍し、ロンドンのタラ・アーツ・シアターで40年間芸術監督を務めた演出家)と共に、何度かワークショップをしたり、モンタージュの映像作品を作ったり探究を重ねてきた。


コロナがなければ2020年に各地を公演して回っているはずだった。



©️Simon Richardson 



今年2021年にはエジンバラの Peace & Justice (平和と正義)」のイベントとして、初めて観客の前でナマで、スコットランドのエジンバラでリーデイング公演を行った。


観客は、時には針が落ちたら聞こえるほど、ぴーんと張り詰めた空気の中でパフォーマンスを見て聞いてくれた。


そう、痛いけれど、大切な話。



©️Simon Richardson 



俳優としても久々にビリビリしびれるほどの空気感を感じて、映像で大勢の人に伝えられることもあるけれど、やはりナマの舞台で同じ時空にいて伝わることはかなり濃い経験だと堪能した。


全身全霊でお互いに感じられる。


この芝居がコロナの状況などでどうなっていくのかは未知だが、この大切な話が世界中の人に伝わっていきますように。


もう少しで新しい年が始まる。


世の中にもっと笑顔と笑いと幸せが増えますように!


長いブログを読んでいただいてありがとうございます。


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