先日ロンドンのナショナル・シアターで「三文オペラ」を観た。
なかなか面白かった。
イギリス人がブレヒトをやるとこんな風になるのだなあ、という感じ。
醜悪(しゅうあく)の美。
ごちゃごちゃしていて、ドロドロ感もあり、人間のはらの底にある欲望をほじくり出そうとしている。
全体的には、相当考えてみんなでディスカッションして、意味を創り出したような芝居。
たまたま前から二列目の席で見て、役者の汗と唾が飛んでくる距離で、スキのない役者のエネルギーがガッツリと感じられる芝居だった。
一つうーむ、と思ったのはローリー・キニアのマックヒース。
こいつ、本当にどうしようもない男なのだ。
何人もの女と寝て、それでもひょうひょうと人生を続けていく。
嫌なヤツなのだが、男としてとっても魅力があるので、女たちはついフラフラと彼のとりこになってしまう。
なのに、ちょっと物足りなかったのはローリー・キニアが、そういう男としては少し魅力が及ばなかったこと。
ローリーはとてもうまい役者で、他の芝居や映画ではなかなか良く、評価も高い。
実を言うとローリーは、私が演劇学校LAMDAにいた時に3年生で、こんなに売れるようになるとはあまり予想されていなかったのではないかな。
もっと危険なセクシーさ、嫌なヤツだとわかっていても惚れてしまう魅力、それがマック・ヒースには欲しい。
頭で考えられないような動物の男の魅力。
いくら訓練しても、役者それぞれが持っている魅力は違うから、これだけハイレベルな芝居でもやっぱりあれ? ということはあるのだなあ。
役者はみんなうまい。
うまいからこそ、贅沢にも更にその先を見てしまう。
日本でもナショナルシアター・ライブで観られるそうなので、ぜひお試しを!


