大切な大 切なチョコレート。
誰にも渡したくなくて、手のひらの中で握ってた。
いつの間にかあったまって溶け出したチョコレートは
形をなくして元に戻らないどころか
指の間から手の甲に垂れ始めた。
こぼしてはならないと強く握れば握るほど
チョコレートは無残な姿になっていく。
いま甘いチョコレートを舐めてしまっては
一番最初の四角いチョコレートの形には
絶対に戻らない。
もう戻らないって頭ではわかっているのに、
少しでも減らしてはいけないと必死にかき集める。
でも、もうみんなにチョコレートをもってることがばれたよ。
みんなに茶色い手をみられたよ。
ごめんね。
こんなことになるのなら
四角い形のまま誰かにあげればよかったよ。
食べることも、元に戻すこともできなかった私は、
チョコレートの塊を捨てて手を洗ったんだ。
誰かを大切にすることって難しいね。