「あれ?私、なんか配合間違えた?」

鏡の前で自分をじっと見つめるブルマの姿があった。

 

「おはよう、ママ。明日さ・・・」

「まあ、こうなったからには善は急げよね。この格好じゃ似合わないから買い物しないと」

「え?」

「あ、おはよう。トランクス。私、今から出掛けるから、ベジータに引き続きブラの子守りお願いって伝えておいて。冬休み入ったんだからトランクスがブラの面倒見てもいいんだからね」

「え!?ええっ?」

「じゃあ、行ってきます」

「・・・ママ、元気だなあ」

 

ブルマと行き違いにベジータがブラを抱えてブルマのラボに入ってきた。

「おい、ブルマ、お前もそろそろ休憩した方がいいぞ。研究に没頭するのもいいが・・・トランクス?」

「ママなら、出掛けたよ」

「出掛けた?」

「うん」

「徹夜明けだぞ?昨日まで倒れそうなくらい疲労困憊気味でラボに閉じこもってたのに?」

「いや、寧ろ肌ツヤツヤで綺麗だったよ」

「・・・何、作ってたんだ?」

「確か、美容液だったかな。ドラゴンボール、横取りされたとかなんとかで・・・」

「ああ、この間のアレか・・・」

 

 

そしてその夜になってからブルマは帰宅した。

 

「ただいま。久しぶりに遅くなっちゃった。ベジータ、ブラの子守りありがとう」

ブルマはベジータからブラを引き取ってブラを抱っこしながらリビングのソファーに腰掛けた。

「それより何だ?その格好は?」

「可愛いでしょう!久しぶりにショッピングしたら私、何でもお洋服似合ってね。店員さんも何でもお似合いになりますねって褒めてくれてね。この格好で街でたら、いっぱいナンパされちゃってさ」

「おい!」

「勿論、ナンパは無視したわよ。でもね、スカウトとかもされてね。どうしてもって言うから明日だけコンパニオンすることにしたの。衣装も可愛かったしね」

「一体、何を作ってたんだ?どう見ても5歳どころじゃないくらいに若返ってるぞ」

「あーそうなのよ。この前、ドラゴンボールがあと1年使えなくなっちゃったじゃない?だから試作途中の未完成品のマイナス5歳肌美容液を改良してサプリメントにして飲んでみたら予想より若返っちゃったのよね。多分、あんたと初めて会った頃くらいかしら」

「で、どうするつもりなんだ?」

「どうするって・・・まあ、成分の割合からして即効性があるって事は持続性はないはずだから数日で元に戻る計算になるわね」

「随分とお気楽だな・・・」

「何よ。元はと言えば、横取りされたドラゴンボールを取り戻せなかったからじゃないの!!あんたと孫君も居ながら!!」

「・・・悪かった」

「じゃあさ、明日、バイト終わったら夜、迎えに来て。クリスマスイヴだし、あんたがうちにきた記念日だし、折角だからその頃の見た目の若い私とデートしよう」

「は?」

「ブラはトランクスに子守り頼んでさ」

「・・・わかった」

「でね、今日、あんたの洋服も買ってきたからそれ着て、車で迎えに来て」

「車?」

「AI搭載してる最新車だし、あなたならすぐ運転できるわよ。それに覚えておけば将来、ブラの送り迎えも車で出来るしね」

「・・・何時に終わるんだ?バイトは」

「20時。西の都のA地区のここね『Jacos Burger』。初のドライヴデートね。楽しみだわ」

「マンマ・・・」

「ブラちゃん、よしよし」

「だあ・・・」

気づいた頃には、ブラと一緒にブルマは眠りについていた。

「・・・たく」

 

言いたいことだけ伝えたブルマは完徹してたせいもあって、ぐっすり眠っていた。

ブルマの寝顔を眺めながらベジータはブラを抱っこしてるブルマごと、抱き上げ、二人の寝室に運んだ。

 

「・・・出会った頃のブルマか・・・」

 

当時はそれどころじゃなかったベジータはブルマの顔を間近で眺めることはなかった。

 

「・・・おやすみ。ブルマ」

 

今では当たり前のようにお休みのキスを唇にするのを躊躇うベジータがいて、その日はブルマの額にキスをした。

 

ベジータにとっても明日は特別な記念日になりそうなそんな予感がしていたのだった。

 

(ドラゴンボール超表紙より)