エイジ765

ブリーフ「お、ベジータ君、ブルマを知らんかね?」

ベジータ「は?なんで俺に聞く?知るわけないだろう!」

 

ブリーフ「いや・・・君ならブルマの居場所わかるかもと思ってな。この前だって君がブルマの居場所を教えてくれたじゃないか」

 

ベジータ「あ・・・あの時はたまたまだ!!」

 

ブリーフ「困ったなあ・・・通信機に連絡しても音信不通で・・・どこかで事故っていなければいいんだが・・・」

 

ベジータ「・・・ちっ!」

 

ベジータはCCの空の真上に飛んだ。

 

ベジータ「・・・戦闘力もない奴の氣を探るのは・・・至難の技なんだぞ!!くそったれ!!」

 

ベジータは氣を集中させて先日のブルマとの交わりに感じた同じ氣を探った。

 

ベジータ「・・・西の都にはいなさそうだな・・・。そういや、数日前、どこかの洞窟に新しい素材の物質が・・・戦闘服の素材になりそうなのが見つかったとか言ってたな・・・確か・・・」

 

東の山林は紅葉で山が鮮やかにから紅に色づいていた。

 

そして、人が殆ど立ち寄らない崖と崖の間にある石の扉の洞窟がひっそりと佇まっていた。

 

程なく東の山奥の洞窟に辿りついたベジータは崩れかけている崖の側の谷間に降りた。

 

ベジータ「・・・ここの崩れ方は新しいな。・・・ここか?」

 

氣を探ると微かに崩れ落ちている洞窟の中からブルマの氣を感じた。

 

軽く氣弾で入り口を開け、中に入ると奥で倒れて気を失っているブルマを見つけた。

 

ベジータ「おい!」

 

ベジータは水が入っているポイホイカプセルを投げて、ボトルを空け、自分の口に水を含み、ブルマに口移しに水を飲ませた。

 

程なく、ブルマの意識が戻った。

 

ブルマ「ん・・・」

 

ベジータ「気づいたか?」

 

ブルマ「あ!ベジータ?・・・なんでここに」

 

ベジータ「それよりここは早く出た方がいいぞ。今にも崩れそうだ・・・」

 

ブルマ「え?だってまだ奥に欲しい素材があるのよ」

 

ベジータ「・・・ここに入った途端、気を失ったんだろう?この洞窟は仕掛けがありそうだ。多分、お前がこの中に入った時、特殊なガスが充満していたんだろう。それを吸って気を失ったはずだ。俺が入った時には氣弾と一緒に消し飛んだから問題なかったが・・・この洞窟はどうも人工的な匂いがする・・・」

 

ブルマ「じゃあ、他にもお宝が眠っているってことじゃない!だったら余計!!」

 

ベジータ「馬鹿か?余計、命が狙われるってことだぞ!貴様、一人で・・・」

 

ブルマ「でもベジータがいるから大丈夫ってことじゃない?」

 

ベジータ「はあ?!なんで俺が」

 

ブルマ「新しい戦闘服が出来そうなのよ!」

 

ベジータ「・・・ちっ!但し、その素材を手に入れたらすぐに出るぞ」

 

ブルマ「えっ。他にも色々ありそうだけど・・・」

 

ベジータ「・・・貴様は暗くてよく見えてないからそんなこと言えるんだ。この周りはすべて白骨化した死骸ばかりだぞ」

 

ブルマ「え??キャー!!!」

 

ベジータ「ば、馬鹿!!いきなり抱きつくな!!」

 

二人はバランスを崩して壁にぶつかった途端に、何かが作動し始めて、ライトが点灯し、洞窟全体が動きだし、足元の床のハッチが開き、二人は勢いよくその空間に落下していく。

 

ベジータがブルマを掴んで空を飛ぼうとしたが、ここの空間は特殊な仕組みが作動しているらしく、真横に落下していく。

 

そこには鋭い針の山が一面に敷き詰められていた。ベジータはとっさにブルマを庇うように自分が下敷きになった。針の山がベジータの左腕と左足に刺さり、血が流れてた。

 

ブルマ「ちょ!!べ、ベジータ」

 

ベジータ「たかがかすり傷だ」

 

血が流れた途端、また壁が回転し針山は天井になり刺さった身体は針から抜けるように今度は真下へ落ちていく。

 

ブルマ「きゃー!!」

 

ベジータ「俺に掴まれ!」

 

落ちたところにちょうどブルマが探していた物質も転がっていた。

 

ブルマ「あ、あった!!」

 

周りは中に入ろうとした者たちのなれの果てとなったものと色々な珍しい宝石たちが眠っていた。

 

回転が止まると空気が変わったように思えた。

 

ベジータ「天井が高いな・・・どうやら、重力が元に戻ったみたいだ」

 

ベジータは空に飛び、脱出場所を探した。

 

しかし、密閉された空間に隙間はなかった。

 

壁に試しに気弾を放ってみたが、びくともしないカッチン鋼の壁だった。

 

その気弾で天井の壁のスイッチが入り、壁がゆっくり下がってくる。

 

ブルマ「ねえ、天井が近付いてきてる・・・ってちょっと、え??」

 

ベジータの方に振り返ったブルマはベジータの様子がおかしいのに気付いた。

 

ベジータ「・・・どうやら、さっきの針山は毒でも塗られていたようだな・・・」

 

ブルマ「ど、どうするのよ。このままじゃ・・・」

 

ベジータ「俺もこのままお前と心中するつもりはないからな」

 

ベジータは回転した針山の天井を見つめて一点を集中して連打で右手で氣弾を放った。

 

びくともしなかった壁に比べ、回転式の天井は強度に甘さがあることを計算したのだった。

 

ベジータ「はああああ!!」

 

案の定、天井はなんとか人が通れるくらいの穴が開いて、外の空気が流れ込んだ。

 

どおおおおん!!!

 

その途端、洞窟全体が揺れるような振動が響きわたり、爆発音が鳴り響いた。

 

その途端に周りは火の手が上がったのだった。

 

どうやらこの壁が破壊されると自爆装置が働く仕組みとなっていたらしい。

 

もう残された時間はなかった。

 

 

 

ベジータ「ブルマ!!しっかり俺に掴まれ!!」

 

ベジータの左腕は毒がまわって力が入らない為ブルマがベジータにしっかり掴まらないと一緒の脱出は不可能だった。

 

ブルマ「ベジータ」

 

ベジータ「手を絶対離すな!!」

 

カッチン鋼の床に右手で氣弾を放ってその反動で天井の壁から外へ向け、空に飛びあがる準備だ。

 

ベジータ「その手、離したら・・・」

 

両手を使えないベジータはブルマにこういうしかなかった。

 

ベジータ「殺すぞ!!」

 

ブルマ「・・・うん」

 

二人は勢いよく飛び出して、崩れ落ちる洞窟から脱失に成功したのだった。

 

 

 

 

時は過ぎ・・・

 

 

エイジ775

 

収穫の秋・・・パオズ山も紅葉が眩しい季節となって川にも紅葉がから紅に染まっていた。

 

ブルマ「はい、これが最新のトラクターよ」

 

悟空「悪りぃーな、ブルマ。わざわざ届けてもらって」

 

ブルマ「いいわよ。ついでの用事があったんだから。まさか孫くんが畑仕事するなんてね」

 

悟空「まあ、チチとの約束だからなあ」

 

ブルマ「・・・でも7年もあの世で私ももう戻ってこないと思ってたわよ。正直・・・。

 

悟空「おらもそのつもりだったんだけど、戻ってきたら家族も仲間もみんなもいるし、やっぱあの世よりこっちの方が平和だけどおもしれーしな」

 

ブルマ「そうね。ベジータもなんだかんだいいながら強くなる目標ができたみたいで前よりもトレーニングに励んでいるわよ」

 

悟空「そうだなあ。おらも生き返った時、あそこまでベジータが戦いにこだわっているとは思ってもみなかったし、戦いが始まったらいきなり「殺してやる!カカロット!!」って言われちまったしなあ・・・おらは殺すつもりは端からなかったけどよ・・・」

 

ブルマ「・・・」

 

悟空「どうした?ブルマ・・・」

 

ブルマ「・・・私も言われた事あるわよ」

 

悟空「へ?」

 

ブルマ「もう10年前だけど、最初の頃の・・・ベジータが本気かどうかわからなかった頃の時、助けに来て「その手、離したら殺すぞ!」って」

 

悟空「それって・・・ベジータの愛情表現の裏返しじゃねーか。だって今、ブルマって言えばすぐ反応するぐれーわかりやすいし」

 

ブルマ「それだったら孫君だって同じじゃない。殺したいほど焦がれてたのよね」

 

悟空「うーん・・・おらが強すぎるのがいけねーのか」

 

ブルマ「うーん・・・私が頭脳明晰な上に美しすぎるからいけないのね」

 

ベジータの言葉の意味を勝手に解釈する二人だった。