エイジ780
悟空と共にジレンと戦っていたベジータの前に破壊神になったトッポが突然攻撃してきた。
トッポ「お前の相手は私だ!」
ベジータは直ぐさま攻撃に移った。
ベジータ「破壊のエネルギーなんかに負けてたまるかあああ!」
トッポ「貴様は私に勝てない。絶対にな!」
破壊のエネルギーでベジータを攻撃してくるトッポに苛立っているベジータがいた。
ベジータ「正義、正義と息巻いていた奴が破壊か・・・。ずいぶんな変わりようだな」
トッポ「われらの宇宙を守れぬ正義ならば不要!余計なモノを背負う貴様では私には勝てん!私は何としても生き残る!そのために余計なモノは全て捨てた!!」
過去に誇り以外全てを捨てて戦った事のあるベジータはフラッシュバックした。
回想〜
エイジ774
ベジータ「・・・おかげで今はいい氣分だぜ」
悟空 「本当にそうか?ベジータ」
俺は・・・あの時、捨て去ることなんて到底出来なかった・・・
ブルマの顔がちらついた・・・そしてカカロットとの戦いよりも・・・
魔人ブウが復活した時、あいつらを守りたいという氣持ちが勝った・・・
そして・・・今も・・・
ブルマ、トランクス、ブラ・・・
約束したんだ・・・惑星サダラへ連れていく・・・
そして・・・
キャベとの約束・・・
サイヤ人としての誇り・・・
俺の全て・・・
回想〜
ウイス「ベジータさん、あなたにとって強さとはなんですか?」
ベジータ「俺にとっての・・・強さ?」
ウイス「強くなりたい過程は人それぞれです・・・悟空さんには悟空さんのやり方・・・そしてベジータさんにはベジータさんのやり方・・・お二人は同じサイヤ人なのにタイプが全く違いますね」
ベジータ「あの戦闘馬鹿と一緒にするな」
ウイス「貴方の場合、貴方の根底にあるモノが真の強さを発揮します。本物を見極めて下さい。そして決して手放したりしないで下さい」
そんな事ウイスに言われなくても・・・俺は・・・
長時間の戦闘でベジータの氣は衰えるどころか、益々激しく光り輝き、トッポに攻撃を繰り出した。
ベジータ「俺は貴様とは違う!捨てて堪るかああああ!!」
トッポ「われらは何としても生き残る!破壊!!」
ベジータの神の氣はトッポの破壊も無効にして拳が何発もヒットした。
ベジータ「おのれのプライド一つ守れん負け犬が!!そんな貴様に俺が負けてたまるかああ!!」
ベジータの怒りは頂点へ、そして何とか堪え忍んだトッポは今持てる破壊のエネルギーを集中させた。
トッポ「うおおおおおお!!」
ベジータ「破壊しきれんほどの技を食らわせてやる。はあああああ・・・!!」
ベジータの中心が光り輝き熱くなり、氣は急激に膨大に膨れあがっていた。
いち早くその氣のやばさに氣付いたのはその技を間近でみた事があるピッコロとクリリンだった。
あの魔人ブウもろとも命を丸ごと爆発させたベジータの自爆技だったのだ。
ベジータ「はああああああ!!!」
(ドラゴンボール超126話より)
回想〜
未来トランクスの世界が消滅した後の・・・トランクスとの最後の別れの日
トランクスとマイの未来へ旅立ちの日。
未来トランクスは昨夜ベッドに横になっていたものの、色々な事がありすぎて結局眠れなかった。
そして早朝にベジータの大きくなる氣を感じた。
未来トランクス「・・・父さん、こんな朝早くから・・・」
ベジータは重力室で何事もなかったようにいつものトレーニングを始めていたのだった。
未来トランクスの気配を感じたベジータは一旦トレーニングの手を休めた。
ベジータ「・・・」
未来トランクス「おはようございます。父さ・・・」
ベジータは有無を言わさず、トランクスに攻撃をしかけたのだった。
ベジータ「はあああ!!!」
未来トランクス「うわっ!!」
ベジータ「俺を倒してみろ!!トランクス!!」
未来トランクス「くっ!!」
ベジータ「お前の底力を見せてみろ!!」
ベジータの攻撃は容赦なかった。
実力の差は明らかで、善戦したものの氣付いた時には地ベタに這いつくばっていた。
ベジータ「俺の息子なら俺を越えるつもりでやりやがれ!!」
未来トランクス「・・・と、父さん・・・」
ベジータの殺意を感じたトランクスは咄嗟にかわし、ベジータの懐に一発拳をヒットさせた。
その途端、ベジータはニヤリと笑い、直ぐさま、平手打ちをトランクスに喰らわせた。
ベジータ「その感覚を忘れるな。トランクス」
未来トランクス「は、はい・・・」
トランクスはふらつきながら立ち上がった。
ベジータ「・・・まだまだだな・・・もっともっと強くなれ」
ベジータは静かに呟いた。
未来トランクス「・・・父さん」
ベジータ「もう二度と大切なものを失わない為にも・・・守りきれなかったと感じているならば自分が誰よりも強くなればいいだけの話だ・・・もっとその上を目指せばいい・・・大切なものを守るためにも・・・」
ベジータは強く拳を握りしめていた。
ベジータ「その努力を惜しむな・・・トランクス」
そのベジータの言葉は自分自身にも言い聞かせているようにも聞こえた。
そして・・・今は無き自分の母、ブルマをトランクスは思い出した。
未来トランクス「・・・俺の母さんは・・・」
ベジータ「・・・ん?」
未来トランクス「本当は・・・俺と一緒にこの時代に来て、貴方に助けを求めるはずだった・・・」
ベジータ「・・・え?」
未来トランクス「まさか過去の世界で悟空さんが生き返っているとは思ってもいなかったんですから」
ベジータ「・・・そうか」
未来トランクス「セルを倒してタイムマシンで帰ってきた俺の話を母さんは本当に宝物のように聴いていたんです。・・母さんは俺の父さんが死んでから生きている父さんに本当は会いたかっただと・・・」
ベジータ「・・・ブルマ」
未来トランクス「それなのに・・・俺は・・・」
トランクスは今までの長い戦いに終止符が打たれマイ以外すべて消えてしまった自分の世界に、ずっと女手ひとつでここまで生き抜いて育ててくれた自分の母親に、結局何も出来なかったという後悔の深い傷が大きく裂けて、今まで抑えてきた感情が込み上げてきた。そして崩れるように止めどなく涙が溢れ嗚咽を漏らした。
ベジータはそんなトランクスを黙って胸に抱きしめた。
子供のように泣きじゃくるトランクスはようやく母親の死を受けいることが出来たのだった。
ベジータ「・・・すまない。トランクス」
未来トランクス「・・・何故、父さんが謝るんです?」
ベジータ「お前の時代の俺が敵も倒せずに死んでしまったからだ・・・未来の俺が誰よりも強くなっていたらブルマも死なずにお前の世界も救えたはずだった・・・」
未来トランクス「それは父さんのせいでは・・・」
ベジータ「本当に大切なものを失わない為には・・・いつでも側で見守り続け、誰にも負けない強さが必要だ。・・・だから・・・俺もこれから生まれてくる命の為にももっと強くならねばならんのだ」
未来トランクス「・・・大切なものを・・・守る・・・」
ベジータ「お前もマイの為にも先に死んだりするな。・・・お前の母親と同じ想いをさせるんじゃないぞ。分かったか?トランクス」
未来トランクス「・・・はい。父さんも・・・」
ベジータ「ああ・・・約束だ。・・・共に生きると」
現在〜
俺は俺の大切なモノすべてを守る為に戦い・・・最後まで守り抜く為にお前たちと共に・・・
もう2度と破壊されないように破壊を破壊する・・・
俺は・・・
何も捨てずに生きる・・・
それが俺の力の源になる・・・
今の俺なら・・・出来るはずだ・・・
光と共にベジータは共鳴し光と同化していく。
凄まじい光のエネルギーでトッポが場外となり、ベジータも光と共に溶けた。
ベジータは自分が光になるのを感じながら、その光の中にある愛しい人を見つめていた。
ベジータ【ブルマ・・・お前はいつだって俺の中にいる】
ブルマ【ベジータ、私を離さないで・・・】
ベジータはブルマを引き寄せ、強く抱きしめた。
ベジータ【当たり前だ・・・離したりするものか】
ブルマ【ベジータ、愛してるわ】
ベジータ【ああ・・・俺も・・・愛してる】
二人の唇が自然と重なった途端、優しくブルーの光がベジータを包み込んだ。
まるでブルマと一つになっているような感覚だった。
破壊の力に打ち勝ち、身体が灰になる程の爆発的なエネルギーのパワーは
愛という名の無限の光溢れるシールドによって保護され、
ベジータの身体は破壊も消滅からも免れた。
ベジータ「勝手に殺すな!」
周りからの反応を察知したベジータは岩にもたれながら一言叫んでいた。
ピッコロ「超サイヤ人ブルーそしてその先・・・。前に同じ技を使い死んでしまったときとはくらべものにならないほどやつは強くなった」
ピッコロが嬉しそうに褒めるくらいベジータは成長していた。
あの魔人ブウからベジータは諦める事をせず、ひたすら強くなることを努力し続けた結果が今ここに現れていたのだった。
力の大会も残り時間あとわずか・・・