エイジ780
こっそりとタイムマシンを造っていたブルマだったが、
ブルマの探していた鉱石とタイムマシンが一瞬でビルスに破壊されてしまった。
そしてラボの爆発で重力室でトレーニングしていたベジータがやってきた。
ベジータ 「・・・ったく、何、やってるだ?」
ブルマ 「ふぇーっ!!、べ、ベジータ〜!!」
ベジータ 「何事かと思って来たら、ラボが爆発してるし・・・実験で失敗でも・・・」
ブルマ 「ビルスにタイムマシン、破壊された」
ベジータ、「!!お、お前、内緒でタイムマシン、また造ろうとしてたのか?!」
ブルマ 「だ、だって!!」
ベジータ 「ブルマ、造ってどうするつもりだったんだ・・・?!」
ブルマ 「・・・また、トランクスに会えるじゃない・・・」
ベジータ 「・・・あのな、あいつらはあいつらで上手くやっていく。だからお前が心配することじゃない」
ブルマ 「うーっ!!」
ベジータ「・・・それにビルスが黙ってみてるわけないじゃないか。重罪だと散々言ってたろ」
ブルマ 「・・・やってみたくなるじゃない。未来の私に出来て今の私に出来ないなんて釈に障るし・・・」
ベジータ 「・・・あのな、そういう問題じゃないだろ?!」
ブルマ「・・・」
ブルマは涙目になっていた・・・多分相当苦労して造りあげていたようだった。ベジータはブルマを宥めるように言った。
ベジータ「・・・未来に行った時に近くに界王神が居たから助かったもののお前も殺されていたところだったんぞ。・・・これ以上、俺に心配なんかさせるな」
ブルマ「・・・え?」
ブルマの探求心旺盛の性分を誰よりもわかっているベジータは本音を伝えるしかないだろうと感じていた。
ベジータ「・・・未来のお前は俺がいなかったからタイムマシンを造ったんだろうが・・・今のお前には俺がいるだろ。・・・他の世界なんていく必要はない」
ブルマ「・・・ベジータ」
ベジータ「・・・俺の・・・側にいろ」
ベジータは赤面しながら恥ずかしそうに静かにつぶやいた。
ブルマは思わず、抱きついてベジータにキスをした。
ベジータ「お、おい・・・ブルマ、飯はどうした?」
ブルマ「もう・・・少しくらいいいじゃない」
ベジータ「・・・昨日だって、散々こうしていたじゃないか。・・・ったく」
そう言いながらもベジータはしっかりブルマを抱き締めていた。
ウィス「・・・あの・・・お取り込み中、申し訳ありませんが・・・」
ベジータ「ウィス!!・・・とビルス・・様!!」
ブルマ「あれ?・・・帰ったんじゃなかったんだっけ?」
二人は赤面しながら慌てて離れた。
ビルス「・・・最後にもう一言だけ忠告しておこうと思ってな・・・」
ブルマ「いやだ・・・もう造らないわよ」
ビルス「・・・タイムマシンが破壊されただけで有りがたいと思え」
ブルマ「え?・・・」
ウィス「・・・そうですよ。ブルマさん、これで万が一、内緒でタイムマシンが完成して作動させていた事になったら・・・ブルマさんをザマスさんのようにその場でビルス様が破壊してましたから」
ベジータ「・・・なんだと!!」
ウィス「それだけ・・・神側では重罪だということです」
ブルマ「あはは・・・」
ビルス「・・・あの未来は特例だっただけだ・・・ベジータ、しっかりそいつを捕まえておけ。目を離すと何をしでかすかわからないからな」
ベジータ「はっ!わかりました!!」
ブルマ「ちょっと!!人を危険人物扱いしないでよ!!美味しい物食べれなくなっても知らないわよ!!」
ビルス「・・・ああいえばこういうだな・・・本当に。なあ、ベジータ?」
ベジータ「も、申し訳ございません!!・・・ばっ、バカ!!ブルマ!!お前!!これ以上余計な事は言うな!!」
ウィス「あ、そうそう、ベジータさん、ちょっとブルマさんに確認しておきたい事があるので席を外して頂けませんか?」
ベジータ「は、はい!!・・・ブルマ、俺は先に部屋に戻ってるからくれぐれも粗相の無いようにしろよ」
ベジータは半分気に掛けながらもその場を離れた。
ビルス「ウィス、早めにしろよ」
ウィス「はいはい、わかってますよ、ビルス様」
ブルマ「あ、改まって何よ!!」
ウィス「ブルマさん、本当のところ、重罪だとあれほど言われたのにタイムマシンを造ろうとしたのは何故ですか?」
ブルマ「そりゃあ・・・科学者の血が騒いで・・・」
ウィス「本当は?」
ブルマ「え?・・・まあ、興味本位っていうか、・・・魔が差したっていうか・・・」
ウィス「・・・ブルマさん、今はベジータさんはいませんよ」
ブルマ「え?・・・なんだ、言わなくてもわかってるみたいじゃない?」
ウィス「おほほ・・・そんな事ありませんよ、ブルマさん」
ブルマ「じゃあ、聞くけど・・・大罪を犯した者の魂は死後、地獄行きなんでしょ」
ウィス「・・・まあ、過去の経歴で言えばベジータさんはそうなりますね」
ブルマ「それは・・・今、殺してなくても?・・・地球を守ってても?」
ウィス「昔の事だとはいえ、帳消しにはなりませんからね・・・だから、ブルマさんもそうしたかった?」
ブルマ「・・・あいつ、独りだと地獄でも何しでかすかわからないじゃない・・・それに私がいないと寂しがるし・・・」
ウィス「・・・それなら大丈夫ですよ、ブルマさん」
ブルマ「え?」
ウィス「改めてタイムマシン造らなくても、ブルマさん、貴方も死後はすでに地獄行きですから」
ブルマ「ええっ!!」
ウィス「あら、言いませんでした?・・・時空を超えるのもタイムマシンを手がけるのも重罪だと。貴方はすでに2回も未来へ行ってますし、タイムマシンも修理して貴方が運転までしたんですから当然です」
ウィスは満面の笑みでそう答えた。
ブルマ「・・・そうなんだ」
ウィス「だから、もう無理に造る必要はないんです。更に造ったりしたらそれこそビルス様に破壊され消滅して地獄にさえいけなくなってしまいますからね」
ブルマは血の氣が引く思いがした。
ビルス「ウィス!!もうその辺で充分だろ!!帰るぞ!!・・・女!こっちとしては美味しい食べ物を失うのが惜しいからな」
ブルマ「何を偉そうに!!それに女じゃないわよ!!ブルマよ、ブルマ!!」
ウィス「・・・ビルス様も素直じゃありませんが・・・ね」
ブルマ「ねえ、ウィスさん、じゃあ、未来のブラックに殺された私も今頃、ベジータに会えてる?」
ウィス「そうですね。あなた方の事ですから喧嘩しながら二人で仲良く地獄ライフを満喫しているかと思いますよ」
ブルマ「そっか・・・」
ビルス「ウィス!!」
ウィス「はいはい、今、行きますよ。・・・ブルマさん、だから安心してくださいね。きっと地獄でも貴方をしっかり守ってくれますからね、ベジータさんは」
そう言って微笑むとウィスはビルスと共に消えて行った。
ビルス「・・・もうさすがにこれに懲りてタイムマシンは造らないだろうな。こちらも知ってて放置したとなるとまずいからな」
ウィス「それは大丈夫でしょう。ブルマさんの願いは叶いましたからね」
ビルス「まったく・・・誰が好き好んで地獄へ行きたがるんだ。これだから人間の考える事はわからん」
ウィス「好き者同士でしょうから離れる方が地獄より辛いのかもしれませんね」
ビルス「そんなものかね」
ウィス「まあ、ブルマさんならどこにいても逞しくやっていけそうですが・・・」
ビルス「それもそうだな・・・僕に手をあげた人間の女はあいつが初めてだ」
ウィス「だから氣になるですものね。まあ、ベジータさんは死んでも離しそうにもありませんがね」
ビルス「・・・どういう意味だ?ウィス」
ウィス「いいえ、別に。もう着きますよ、ビルス様・・・」
こうしてこの世界のブルマはそれ以降タイムマシンを造ろうとすることはなかったのだった。
そしてブルマもウィスもベジータにはブルマがタイムマシンを造ろうとした本当の理由は伝えることはなかったのだった・・・。
ブルマにとって、龍神並みにお金でなんでも解決できる願いより、それよりも叶いたい願いはただ一つだった。
それはとてもかけがえのない存在そのものだったのだ。