エイジ780

意識が遠くなる中でブルマの泣き顔が焼き付いて離れなかった。
 
俺はあいつを悲しませてしまったのか。

 

ロゼに超化したゴクウブラックは、予想以上に強かった。

言うことをきかない身体が俺を地面から離してはくれなかった。

 

俺は無様に地面に倒れたままだった。

 

まさか・・・あんなに強いとは。神の力をもったブルーで対抗できないとは。

 

いきなり懐に入られたと思ったが・・・あれはカカロットと同じ瞬間移動を使ったのだろう。

 

それ以外、考えられない・・・やっかいな技もあの野郎は身につけていたのか。

 

界王神ザマスという野郎がまた加わり、カカロットとトランクスがふたりがかりで戦っている。

 

トランクスはさっそく俺が教えたファイナルフラッシュを実践してた。

 

大したものだ・・・よくあの短時間で自分のものにしたものだ・・・さすが俺の息子だけある・・・

 

だが、あの界王神は不死身の力を身につけていた。

何処でそんな力を・・・

 

ドラゴンボールなら・・・可能か・・・時の指輪は界王神しか扱えないとそんなことをウィスたちは言っていた。

 

時を超えてその力を手に入れたのだろうか?

 

このままでは3人ともやられてしまう。

 

未来へきてこの様か・・・

 

ザマスが二人を抱え込んで、ブラックロゼのかめはめ波を真正面から受け止めた。

 

二人はもう動けない・・・このままじゃ・・・何のために・・・俺は来たんだ!!

 

そう思ったとたん、身体が勝手に動き出し、ブラックらに向かってファイナルフラッシュを放っていた。

 

カカロットとトランクスはその隙になんとか仲間が救出してくれたようだ。

 

それを見届けて俺は意識を失った・・・

 

・・・帰ってからの続きは・・・出来そうになかったな。

 

 

 

夢の中で、ブルマは俺を見つめて泣いていた。


【泣くな・・・】


そう言いたかったが、俺の身体はもちろんのこと、俺は言葉に出来ないほど、唇さえも動かなかった。

 

ボロポロ流れる涙が俺には痛かった。

 

ブルマは泣きながら、何を思ったのか、自分の唇を俺の唇に合わせてきた。

 

それは夢のはずなのにとても熱を持って温かく俺の口の中にあいつの舌がからんできた。

 

俺は無意識にそれを受け入れ絡めて、あいつは俺の名前を呼んでいた。

 

 

 

 


俺の意識が仙豆で戻った時、息子のトランクスが側にいた。

 

ブルマは大きい方の俺の息子に仙豆を食べさせていた。

 

 

あれは夢だったのか


ベジータは思わずブルマを見つめていた。

 

ブルマは安心したようにベジータに軽く笑いかけていた。

 

 


まさか、カカロットの奴が仙豆を忘れてくるとは思わなかったが、不死身のザマスの戦略案がないことには向こうで仙豆があったとしても無意味だったに違いない。

 

この世界にこんなに早く戻って来られたのは幸いだった。

 

 

・・・さっきの夢のせいだ。


今すぐにでも、あいつを抱き締め、キスをしたかった。

 

それを悟られないように、ベジータはブルマとの距離を置いていた。

 

 

 

夕方にウイスたちが界王神を連れてやって来た。

 

どうやらこちらの世界でもあのザマスが何か、行動を起こし始めたようだった。

 

俺の予想通り、超ドラゴンボールで願い事を叶えて不死身の身体を手に入れようとするらしい。

 

ウイスらにこちらの未来の情報を伝えるとウイスとカカロットの読みもやはり同じような考えだった。

 

 

ザマスの考えを確かめにいくというカカロットに俺は付き合う氣がさらさらなかった。


ベジータ 「フン」

 

ブルマ 「あんた、行かないの?」

 

ベジータ 「今のザマスに興味はないな。話を聞く限り、頭でっかちだけの理屈屋だ」

 

 

ベジータは一旦、シャワーを浴びに寝室へ戻った。


未来へ行く前は簡単にブラックを片付けて帰ってくるつもりでいた手前、瀕死の状態で戻ってきてしまった無様な自分にブルマに合わす顔がなかったのも事実だった。

 

シャワーを浴び、ミネラルウォーターで喉を潤して一人寝室で寛いでいると、ブルマが入ってきた。


ベジータ「・・・ブルマ、どうした?」

 

ブルマ 「ベジータ、あんた、私を避けてるでしょ」

 

ベジータ 「そんなことはない・・・」

 

ブルマ「うそ・・・本当に心配したのよ・・あんな傷だらけで一番重症だったから・・・」

 

 

 

ブルマの瞳には今にも涙が溢れそうだった。


さっき、夢でみたブルマの涙が思い出されていく。

 

 

ベジータ 「・・・泣くな。そんな顔をすると・・・俺が辛い」


ブルマは涙が頬に伝わったと思ったら、ベジータにキスをしていた。

 

 

ベジータ「・・・何をしてるんだ」

 

ブルマ「帰ってきたら・・・続きするっていったのに」

 

ベジータ 「・・・そうだったな」

 

ブルマ 「待ちきれなくて、その場でしちゃったわよ」

 

ベジータ 「・・・は?」

 

ブルマ 「貴方、死んだように倒れてんだもの。もう間に合わないかもって、貴方の息、確かめたのよ」

 

ベジータ 「・・・ブルマ」

 

ブルマ 「貴方にキスしたら反応があったから・・・まだ大丈夫だって」

 

ベジータ「・・・おまえな・・・」

 

 

そういいながら、ベジータはブルマを引き寄せ、互いの唇を重ねていた。

 

あれは夢ではなかったのかと思いながら互いの舌が相手を求めるように絡まり合う。


ブルマ「あ・・・」

 

 

もう会えないかと思っていた。意識を失う直前、あいつらは俺のトドメを刺そうとしていた。

 

あのとき、あの娘が気転をきかせて、この時代へ戻してくれなかったら俺の命は消えていたかもしれない。

 

目の前にいるブルマの唇が俺が生きてここにいるという現実を与えてくれる。


ベジータ「ブルマ・・・」

 

二人はベッドに倒れこみ、互いのキスは激しさを増すばかりだった・・・。

 

二人は昼間のキスの続きをしたのだった・・・

 

暫しの束の間の時間・・・二人だけの世界に浸っていたベジータとブルマだった・・・。