エイジ779

第6宇宙との試合の最中、ベジータは2連勝を勝ち取っていた。

先ほどの試合でベジータが闘技場を壊滅状態にしてしまったため、闘技場の修理が必要となり、その間、短い休憩時間が設けられた。

ブルマとトランクスは2連勝したベジータの側にいたのだった。

トランクス「パパ、このまま全員倒しちゃってよ」

トランクスは相当、ベジータの活躍した試合が見れてとても嬉しそうだった。

ベジータ「言われなくてもそうするつもりだ」

ブルマ「トランクス、調子にのるんじゃないの。ベジータも、後に孫君だっているんだから無理しないでね」

ベジータ「フン」

なんでここでカカロットの名前が出てくるのか、不満に思いながらもやたらタオルで汗を拭いてくるブルマに悪い氣はしなかった。

周りに聞こえないようにベジータとブルマは小声で会話していた。

ベジータ「おい、もういいぞ・・・人前で・・・」

ブルマ「でもさっき拭いてくれたじゃない、貴方だって・・・」

ベジータ「・・・あの時は髪だ」

ブルマ「でも、シャワー室で・・・」

ベジータ「その話は今はするな」

ブルマ「わかったわよ」

ベジータ「おい、ブルマ。スカーフの結び目がずれてるぞ」

ブルマ「あ・・・」

ベジータ「氣をつけろ」

ブルマは慌ててみんなから見えないようにスカーフを結び直していた。


ベジータ 「もう、観客席に戻れ」

次の対戦は第6宇宙にいるサイヤ人だった。カカロット以外の同胞との対戦は10年以上ぶりだ。もうすぐ試合が始まる。

ブルマは観客席に戻る前にベジータにキスをしようとして、避けられた。

二人は小声で話していた。

ベジータ 「試合前に何をするつもりだ」

ブルマ 「さっきはしたくせに」

ベジータ 「馬鹿か、人前で出来るわけないだろ」

しかし、余りにも接近して話しているため、端からみたら充分にいちゃついているようにも見える事に氣付かない二人であった。

闘技場の修復が終わり、その様子をちらっと見ていたウイスがぽつりと言った。


ウイス 「あら、本当に仲が宜しい事・・・」

ビルス 「あいつら、すでに周り見えてないね」

ウイス 「まぁ、宜しいんじゃありませんか?ベジータさんはひとつくらいそういう事があっても。地球を出発する前もブルマさんを呼び出していたくらいですし・・・」

ビルス 「ふうん。もし仮に失ったらあいつは生きていけそうにないタイプか」

ウイス 「そうかもしれませんね」

ビルス 「変われば変わるものだ」

ウイス 「まぁ、それが彼の強さの基みたいなものですから」

ビルス 「・・・奴のゴッドの超化はやはりそれだったのか?」

ウィス 「あら、氣づいていたんですね」

ビルス 「あれほど分かりやすいのも他にはいないな」

ウイス 「おほほ、それでも本人は周りに悟られていないと思っていますから」

ビルス 「まあ、こっちとしては試合に勝ってくれさえすればどうでもいいけどね」

みんな、それぞれの配置に戻り、試合が始まろうとしていた。




回想~

精神と時の部屋に約3年分修行していた悟空とベジータは地球出発前にそれぞれ悟空はCC家の客室のシャワー室へ、ベジータは寝室のシャワー室へ向かった。

程なく、ベジータに呼び出されてバスタオルを持って寝室のシャワー室へいくブルマの姿があった。

ブルマ 「ほら、やっぱりここにあるじゃない。どこに目、つけてるのよ」

ベジータ 「ああ、知っている」

ブルマ 「・・・確信犯ね」

ベジータ 「こうでもしないと二人きりになれないだろう。お前も入れ」

ブルマ 「本当、そっちが半年ぶりだと強引なんだから」

精神と時の部屋の3年分の修業中に悟空とベジータは半年ごとの休憩をこちらの時間で半日ごとに1時間だけ戻ってきていたのだった。

ベジータ 「嫌いじゃ無いだろ、お前だって」

確かに嫌いじゃなかった・・・むしろいつもより情熱的で息が詰まりそうなくらいだった。そう思ったが、ブルマは口に出しては言わなかった。

ブルマ 「あのね、みんな、待ってるんだから」

ベジータ 「待たせておけ。少しの時間だけだ」

ベジータは濡れた手でブルマを引き寄せ、キスをした。

一度シャワーを浴びて髭も剃り、すっきりと引き締まったベジータの肢体に抱き寄せられてここ3日間の半日ごとの激しい情事がブルマの身体に蘇り、胸の奥が熱くなってくる。それを期待するかのようにブルマの身体が勝手に反応していた。

ブルマ 「待って。・・・服が濡れるわ」

ブルマが首に巻いていたスカーフをとる。

ブルマの首もとには、ベジータにとって半年が、ブルマにとってはつい半日前で、まだブルマの身体に消えないで刻まれた愛の証しの跡が肌にくっきりと無数に刻まれていた。

ベジータ「・・・えらく跡になってるな」

ブルマ「つけた本人がそんなことよく言えるわね」

確かに首筋にキスマークを付けた覚えはあるが、それは半年以上前の遠い記憶であるベジータにとって、それがくっきりと跡になって今も艶めかしく残っていることがとても鮮烈に映った。自分のしたことなのに思わず口をおさえて赤面していた。

ブルマは諦めて服を脱いだと思ったら、ベジータはシャワー室へブルマを引き寄せ、首もとの無数の跡に口づけをした。半年前の記憶が蘇り、火がついた。

ベジータ「なら、しばらくスカーフが外せないようにしてやろうか」

ブルマ「私は別に堂々と外してもいいのよ。誰かさんが冷やかされるだけだものね」

ベジータ「そんな事してみろ。後悔することになるぞ」

シャワー室内は湯気で蒸気が高まっていた。

ブルマの両手首を掴み、ブルマの背中を壁に押しつけ、ブルマの唇を舐めるように口づけをした。

ベジータの舌が遠慮無く、ブルマの口の中をこじあけ絡めてくる。

ブルマはそれだけで氣が遠くなりそうになっていた。


時間がないのは分かっていた。シャワーの栓を最大限に開け、水音が激しく響く。室内の声がきこえないように注意を払ったのだった。

ベジータはブルマをバスタブの中へ抱きかかえ、ブルマの脚を抱えたまま、水中で二人は絡みあった。勢いよく流れるシャワーのお湯の中で互いの唇も身体も熱い芯も心も混じり合い、半分溺れかけそうになりながら熱い吐息が反響した。流れ落ちてる雫が自分のものなのか、相手のものなのか、シャワーのお湯なのか、それすら分からない状態で交差して高揚と幸福感で満たしていく。

ブルマ「ベジータ・・・」

ベジータ「・・・ああ、分かってる」

もうそろそろ時間も氣になってはいた。まだこうしていたいという氣持ちを押さえ込みながら呼吸と振動を速めていく。一氣に氣が高まり、一瞬で弾けた。

バスタブのお湯が溢れて勢いよく流れて、シャワーの雨が、荒い呼吸をして水中で抱き締め合っている二人に降り注いでいた。

シャワーの雨にずぶ濡れになっている髪も高揚した頬も互いに艶かしく映り、どちらが求めるわけでもなく、自然と再び互いに激しくキスを交わしていた。

時間がないということがこんなにも熱くさせるのかと思うくらい、氣づいた時には更に混わりひとつになって、すでに二回目の絶頂を迎えていた。再び弾けて、肩で息をしながらシャワーの水音が呼吸と共に響いていた。


ベジータ「・・・立てるか?」

ブルマ「・・・」

ベジータ「お前、今にも溺れそうだぞ・・・」

ブルマ「・・・誰のせいよ」

ベジータはシャワーを止め、ブルマを抱えて洗面所で降ろし、バスタオルをブルマの頭に掛けて髪を拭いた。

ブルマ「な、何、珍しいことしてるのよ」

ベジータ「・・・お前が先に行ってないと怪しまれるだろ」

ベジータがブルマの髪を拭いてくれるとは予想外だった。

ブルマ「そ、そうね・・・」

ベジータ「・・・だいだい、乾いたか?ほら、さっさと着替えて早く戻れ」

ブルマ「・・・うん」

ブルマは身支度を始めた。

ベジータ「3年分の修業の成果も期待しておけ」

ブルマ「そうだったわね。修業しに行ってたんだったわよね」

ベジータ「何しに行ってたと思ってたんだ?」

ブルマ「だってこっちの時間だと半日ごとに戻ってきてはあんな事やこんな事をしてばっかりだったもの」

ベジータ「・・・悪かったな・・・その分、試合で結果を出してやるからお前は観客席でみてろ」

ブルマ「じゃあ、期待してるから。試合」

身支度を終えたブルマはすでに着替え終わりそうなベジータを見ていた。

ベジータ「・・・なんだ?」

ブルマ「・・・キスして」

ベジータ「甘えるな」

そう言いながらもベジータは手袋をはめながらブルマにキスをした。

ブルマ「じゃあ、あとでね」

ベジータもつくづく自分も甘くなったものだと感じていたのだった。





現在〜

試合が始まった。

まさかのキャベの構えに懐かしさを感じていた。

しかし、すぐに教えを乞おうとするサイヤ人らしからぬ言動に苛立ちを感じながらもそれを引き出してやろうとする俺がいた。

昔の俺なら本当に惑星サダラを破壊して相手を超化させていたかもしれない。

キャベ「惑星サダラは関係ないだろう!!!」

奴は怒りを引き出すとあっさりと超化しやがった。

ベジータ「それでいい・・・その感覚を忘れるな」

この俺が試合中に他人に稽古をつける事になるとは・・・

ベジータ「貴様は戦いの中、敵の俺に頭を下げた・・・それは戦いを捨てたのも同じだ」

純粋な血のサイヤ人が懐かしかった・・・鍛えてやりたくなった・・・身も心も・・・

ベジータ「サイヤ人の誇りを絶対に忘れるな・・・強さだ」

こいつは素直なだけが取り柄だ。持っている感覚も悪くはない・・・

ベジータ「俺を超えてみろ!・・・絶対に超えさせないがな」

キャベ「あっ・・・はい!」

第6宇宙では、惑星サダラもあり、違う進化を遂げたサイヤ人がいるのだ。俺が知らない世界がそこにある。王子であった俺が統治するはずだった世界。

少しでも俺が誇りとして持っているサイヤ人の血がこのキャベを通して繋げればいい・・・

俺はこの第7宇宙で地球という惑星を選んだのだから・・・

ここでも俺は更なる高みへと成長できるのだから・・・

ベジータの振り返った視線の先には愛する妻と息子が映っていたのだった。