~回想~
エイジ736(現在(エイジ753)から17年前) 惑星ベジータが消滅する一年前のある日
ベジータ王「貴様!!俺を暗殺しようとするとはいい度胸だ!!皆殺しにしてくれるわ!!!!」
一瞬に吹き飛ぶ。難を逃れて立ちすくみ、にらみ返す幼いサダラ。
ベジータ王「ほう、あいつの娘か、いい目をしてるな。息子ベジータと同い年か。その目に免じて生かしておいてやろう。 おい、辺境の惑星ジルバへ輸送しろ」
臣下「いいのですか、あの猛獣がいる惑星ジルバに」
ベジータ王「運が良ければ生きて戻ってくるだろう。その時、仇でも討つがいい」
不敵に笑うベジータ王。
エイジ753(現在) 惑星フリーザーno.79に帰還したベジータとナッパとサダラ。
しばらくそれぞれ休息をとる。
サダラがベジータの部屋を訪れる。
ベジータ「・・・なんの用だ?俺に理もなく部屋に入るとは!」
サラダ「随分ないい方ね。あれから1年も経つというのに・・・貴方は未だ・・・」
ベジータ「・・・幼いころ、王から叩き込まれた習慣でな。お蔭で死なずに俺はここまでの地位と戦力がある。【誰にも決して氣を許すなとな。氣を許した途端、死ぬ】とな。その王でさえ、惑星ベジータと滅びた。貴様も更に強くなりたいのなら・・・」
サダラ「・・・私は貴方と出会って変ったわ。たった一人でずっと孤独だった。でも王子と出会って救われたわ。私は一人じゃないって。大切なものが出来た・・・」
ベジータ「・・・そんな言葉、ぬけぬけと言えるものだ、俺にはそんな感情はない」
サダラ「貴方は怖がっているだけよ」
ベジータ「何だと!」
サダラ「王子、本当に貴方が真の強さを持っているなら私の貴方への愛を受け止める器があるはず・・・そして貴方の心も氣づいている」
ベジータ「・・・」
サダラが服を脱ぐ。
~回想~
エイジ752(現在から1年前)
同じく、サダラがベジータの部屋を訪れる。
サダラ「ベジータ王子、私をあなた方の部隊へ入れてほしい」
ベジータ「(睨む)」
サダラ「王子、何を警戒してるの?」
ベジータ「貴様の素性は知っている。故ベジータ王から聞いた事がある」
サダラ「それなら話が早いわね、いつまでもそんな昔の過去に捕らわれている私ではないわ。」
ベジータ「それなら貴様の部隊を作ればいいではないか」
サダラ「私は惑星ジルバから命からがら生還した時にはもう惑星ベジータは無かった。そして王も」
ベジータ「・・・」
サダラ「その時、氣付いたの。運と力がすべてだってね。私はベジータ王のお陰で惑星ベジータの消滅からの難を逃れた。今となれば感謝してるのよ、私はお陰で強くなった。そしてもっと力が欲しいのよ」
ベジータ「それが俺だと言いたいのか」
サダラ「同じ境遇の王子に」
ベジータ「同じ境遇だと・・・」
サダラ「惑星ベジータが消滅しなければ、今頃、貴方は王の跡を継いでいたはず。でも今はどう?フリーザー様の下僕に成り下がって・・・悔しくないはずがない」
ベジータ「ふっ、余計な事を言いやがる女だ・・・」
サダラ「どう?私と手を組まない?」
ベジータ「いいだろう、但し、俺は女だからと言って容赦しない。足手まといと判断したならその場で殺す」
サダラ「それでこそ・・・ベジータ王子」
部屋を出るサダラ。
エイジ753 現在
いつからだったろう・・・違う感情が芽生えてきたのは・・・
サダラがベジータに歩み寄る。何も言わず受け入れるベジータ。
サダラ「ね、ベジータ、私は貴方を愛してるわ。私は貴方の気持ちが痛いほどわかるわ・・・貴方の心を開いて、お願い、私を信じて・・・」
心地よい感情に心が揺れる。
もしかしたら本当にこの目の前にいる女になら無くしてしまった心を取り戻せるのだろうか・・・
信じてもいいのだろうか・・・
ベジータ「・・・サダラ、愛して・・・」
言いかけたその瞬間、ベジータの背中に閃光が貫く。
ベジータ「うっ・・・」
目の前にいるサダラがベジータのみぞおちに目掛けて氣功波を放った
ベジータ「な、何を・・・」
みるみる内にシーツが血に染まる。
サダラ「ふっ!、ひっかかったわね」
ベジータ「サダラ・・・?!お前!!」
サダラ「まさか、やっとこのチャンスをまっていたのよ」
ベジータ、流れる血を押さえながら、サダラから離れる。
サダラ「ベジータ王に両親を殺され、兄も・・・そんな私が王の息子のお前に惚れると思ったのか!めでたい王子だな」
ベジータ「俺に言ったことは嘘だってことか・・・」
サダラ「でもこのチャンスを作るのに1年も掛かるとは思っても見なかったけどね、意外とガードが堅くて苦労したわ。その点は褒めてあげる。危うく私も情に流されるところだったわ」
ベジータ「謀反を犯したのは貴様の親の方だ、温情で王が生かしてやった恩を・・・」
サダラ「そうね、その恩が仇になった。これでベジータ王家の血筋も終わる!!」
ベジータ「そうまでして俺を憎んでるってことか」
サダラ「そうよ、女って武器を使ってまでね。いい笑いものになるわ、王子が一人の女に殺されるのだから。さよなら、ベジータ王子」
笑みを浮かべるベジータ。
サダラ「死ね!!!!!!!」
サダラが氣功波をベジータの顔面に放つ。片手で跳ね返すベジータ。
サダラ「な!!」
ベジータ「甘いな、サダラ 。」
ゆっくり立ち上がり、氣を高めるベジータ。
サダラ「その傷でまだそんな力が残っているなんて・・・」
ベジータ「サイヤ人特性の弱点、精射直前の急激な戦闘能力のダウンを狙ったつもりだったんだろう。生憎だったな、伊達に王子の名を語ってるわけではないんだよ。下級戦士とは訳が違うんだよ」
サダラ「!!ま、待って」
ベジータ「命ごいか?笑わせるなよ、言ったはずだ!俺は女にも容赦しない」
サダラ「ベジータ、愛してるわ」
ベジータ「俺に愛だの恋だのそんな感情はない・・・だがサダラ、貴様には感謝するぜ、俺のどこかに残っていた甘さを完全に消してくれた事によ!!どこかで期待してた俺が馬鹿だったぜ!!お前の自分の感情を殺してでの命がけの復讐。そんな憎悪は初めてだったぜ」
サダラ「くっ! 」
ベジータ「やっと吹っ切れたよ。お陰で今はいい氣分だ・・・」
ベジータの氣功弾で跡形もなく消し飛ぶサダラ。
ベジータ「ふっ・・・愛してる・・・か。そんな言葉、もう二度と・・・」
強く拳を握り締める。
そして、素早く止血して、服を羽織り、部屋を出るベジータ。
その瞳には冷たく鋭い視線があるだけだった。