トム・フォード初監督作の「シングルマン
」、観てきました。
トム・フォードといえば、かつてグッチやイヴ・サンローランの
デザイナー&クリエイティブ・ディレクターだった人。
なので、最初は「ええっ?!あのトム・フォードが映画??」
と驚いたのですが、試写を観た知人たちが100%絶賛しているのですよ。
昨年のヴェネチア映画祭では、旋風を巻き起こしたらしいし。
というわけで、期待を高めながら、やっと昨日鑑賞。
……もう、もう、素晴らしかった!!
内容は、16年連れ添ったパートナーを交通事故で亡くしたゲイの大学教授が、
生きる意味を無くし、自殺を決意した1日の心の動きを描いたもの。
いつもの職場、親友とのひととき、新たに出会う人物……
死を決意してからの彼が見る世界は、それまでの世界とあきらかに違っている。
主演のコリン・ファースのシリアスな演技もよかったですが、
脇役の俳優、女優たちの美形なこと!
あえてロー気味に押さえたフィルムの色に、こだわりぬいたアングルとショット。
唇、胸元、足のアップや、セリフに出てくる香水の名前……
随所にトム・フォードならではの美意識を感じました。
しかも単にスタイリッシュな映画というだけでなく、心の深い部分に容赦なくアクセスしてくる。
主人公が抱えている悲しみと孤独、絶望、スピリチュアリティ、ひとすじの希望、
そういうものが、どうしようもないリアルさをもって迫ってくる。
分断された人間の孤独というものを、噛みしめるような映画です。
セクシャリティを問わず、中年以降の人の方がグッとくるでしょうね。
実際、トム・フォードはファッション界であらゆるものを手にしていたわけですが、
そんな物質至上主義的な価値観にむなしさをおぼえ、
自分の精神的なもの・秘めた想いをこの作品に注ぎこんだとか。
個人的には、「恐怖も幸せも、自分自身が作り上げた幻」というメッセージを
この作品から受け取りました。
そしてこの世に生まれ落ちたことがすでに幻みたいなものならば、
素敵な幻を作ろうじゃないか!とも。
固い固いアイスキューブの奥で燃え盛る炎のような映画です。
あちこちでトム・フォードのインタビューを読みましたが、
ここの記事がいちばん核心にせまっていたかな。
Time Out Tokyo
トム・フォード インタビュー


