今日は“新潮文庫の百冊”の思い出を。


昔は新潮文庫がセレクトした新潮文庫の百冊という小冊子が書店にあり、それをネチネチ読むのが楽しみだった。


毎年楽しみにしてたのは、作家のエッセイ。


この年は、荻野アンナ、荒俣宏、安西水丸、小川洋子など錚々たるメンバーが寄稿してるけど、群を抜いて面白かったのは森瑤子さんの”「風と共に去りぬ」と私“だ。



一冊の本を繰り返し読むことのなかった森さんが、唯一例外的に読んできたのが「風と共に去りぬ」だったそう。


10歳前後で映画を観て感激し、本を探して一気に読む。


2度目は20歳前後、優しいはずのアシュレが脆弱な男とわかりショックを受ける。


3度目は30歳の頃。家庭に閉じこもり子育てをしながら、1日2冊のスピードで本を読み漁っていた時、レッドバトラーの魅力にようやく気づき、スカーレットの傲慢さに同情を寄せられるように。


そして4度目は40歳、自身が作家になってから。

ストーリーの面白さや会話を楽しむというよりは、小説作法としてしか読めなくなっていた。

マーガレット・ミッチェルが、この作品を書いたのがわずか20代の後半だという事実に打ちのめされたのだとか。


こうして森さんは、結果的に10年置きに読み返してきたわけだが、最終的にスカーレットと自分があまりにも似てることに唖然としたのだという。


人生の節目節目で一冊の本を繰り返し読み返すことの楽しさと深さを教えてくれるエピソード。


自分も残りの人生は、人生に寄り添ってくれるような本に何冊出会えるかだな、と思ってる。


みなさまも楽しい読書生活を。

オシマイ。