暴れ馬が3年生で算数の全分野を学習することになったのは神童たちの存在があったからだ。
暴れ馬は塾で3年生の算数の授業を受けていた。私は他の子の親たちと一緒に教室の後ろで授業を見学していた。割り算の筆算でもやるのだろうと私はこの塾の授業をなめていた。
この時の暴れ馬の偏差値は算数も国語も30台。3年生の成績など全く関係ないと思っていたが、3年生の段階で神童は確かに存在していた。
間違いなく、開成、筑駒、灘、桜蔭に合格するであろう神童たちが。
神童たちの口からとんでもない言葉が浴びせかけられた。塾では3年生でも小学校ではまだ2年生の神童たちは次々にこう言った。
「ああ、これフィボナッチ数列だね」
「確かにフィボナッチ数列になってるね」
私の目は点になった。だが、神童たちはまだ続ける。
「これ三角数よ」
「俺も三角数だってすぐに分かった」
目の前の光景が信じられなかった。たかだか7歳か8歳の子供たちだ。
一番前の席に座っていた暴れ馬は授業中ずっと足をぶらぶらさせ教壇を蹴り続け、筆箱を何度も落とし、その度に先生から注意されていた。
かわいそうに。何も分からないんだろうなあ。
じゃじゃ馬の受験が終わり、一年間は中学受験から離れようと思っていた私のスイッチが入ってしまった。

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