ワ-グナ-生誕200周年 | 徒然草子

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今年はワ-グナ-が生まれて200周年になる。ZDFでも報じていたことだが、このことを記念してワ-グナ-と縁のあるドイツ各都市で記念行事が行わなれ、記念コンサートなどが行わなれている。
ワ-グナ-が音楽やその他芸術にもたらした絶大なる影響に関しては、今更、触れるまでもない有名な事柄なので、おいておくが、かかるワ-グナ-は、本人の性格に拠る所も大きいが、生前から敵や反発する人々が多く、今日においても状況は変わらない。特にワ-グナ-の反ユダヤ主義がナチズムと結びつけられたという歴史的事実が事態を複雑にしている。
ワ-グナ-自身の反ユダヤ主義の性格に関しては議論の余地は大いにあろうが、しかしながら、アドルフ・ヒトラ-が彼の芸術を愛好し、ナチズムの殿堂の音楽としたことは否定しようのない事実であり、そのことにより、第二次世界大戦以後、特にユダヤ人の間においてワ-グナ-受容に抵抗感ができてしまった。
無論、ユダヤ人全員がワ-グナ-に反発している訳ではなく、又、ワ-グナ-への抵抗感も千差万別であるが、少なくとも、イスラエルにおいてワ-グナ-は今日でもタブーであり、同じユダヤ系の世界的指揮者であるダニエル・バレンボイムがイスラエル国内でイスラエル・フィルハ-モニ-管弦楽団を指揮してワ-グナ-の曲を演奏するという冒険を行ったが、かかる試み自体がセンセーショナルであったし、又、やはり、幾分かの反発もあった様である。
イギリスのユダヤ系の作家であるスティ-ブン・フライの場合、ワグネリアンとしての自身とワ-グナ-の芸術とナチズムの繋がりという事態との相剋に関して、ワ-グナ-の芸術をアドルフ・ヒトラ-らの手に奪われてはならないという結論を出して、折り合いをつけたが、彼のケ-スは、決して簡単なことではなかったと思うが、ある意味、幸福な事例に思われる。