太融寺 | 徒然草子

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大阪の梅田エリアの一角に太融寺がある。かかる太融寺は高野山真言宗の寺院で、千手観音を本尊とする古刹である。
当寺は商業地区の中にあり、その周りにはラブホテルや風俗店が入居する雑居ビルが数多くひしめいているが、それ故に人の欲望の大海に浮かぶ浮島の様な観を呈している。
尤もかかる様相は創建当初からのものではないし、長い寺の歴史からすれば、比較的最近のことになるであろう。
しかしながら、人間が根本的に有する欲望が解放され、又、ビジネスにおいて効率性が至上命題とされている現代、ふと眼に入るかかる寺の存在は貴重な安息所の様に映るし、又、かかる寺の存在態様がいかにも商業都市大阪の寺らしい。
さて、一歩、境内に足を踏み入れると、それ程、広くはないにせよ、其処は外界とは異質な空気があり、ある種の静寂がある。その要因として一つには比較的手入れがゆき届いていて、清浄さが保たれていることも挙げられようし、又、近くのお初天神に比して境内の人口密度が小さいことも挙げられよう。
かかる境内は本堂を中心に本坊、護摩堂、大師堂、水かけ不動などがあり、又、新西国の札所に名を連ねていることから、納経所もある。
本堂はそこそこ大きく、外陣にて秘仏本尊の厨子がある内陣に向かって参拝できる様に堂は開放されているが、堂内に参拝者がいることは殆ど無い。
又、境内の一隅に稲荷社などもあるが、その近くには淀殿の墓塔とされる石塔がある。この石塔はもともと太融寺境内に在ったものではないらしく、紆余曲折を経て当寺に辿り着いたらしいのだが、現在ではこの太融寺を安住の地としてひっそりと佇んでいる。