ソーマ(ハオマ)の謎 | 徒然草子

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『リグ・ヴェーダ』には神々の飲料としてソーマが登場する。ヴェーダの神話によると、このソーマは天上世界からもたらされたと言う。ソーマは一種の高揚感を伴う飲料だったらしく、神々の王インドラも戦いの前にはこのソーマを飲んだとされる。かかるソーマは神聖視され、やがて神格化されて神とされた。『リグ・ヴェーダ』においてもソーマに対して数多くの讃歌が捧げられている。

一方、イラン系アーリア人の宗教であるゾロアスター教においてもハオマと呼ばれる神酒が登場し、やはり、生命力を高揚させ、死を遠ざけるとされる。かかるハオマもソーマ同様、神聖視され、神格化されて神とされている。

今日の研究ではソーマもハオマも同一の植物による飲料と目されているから、その起源はアーリア人がインド系とイラン系に分裂する以前の相当古い時代にまで遡り得る事になる。

ところで、分裂後の早い内にソーマ(ハオマ)の原料となる植物は取得困難になっていたらしく、インド系アーリア人もイラン系アーリア人もそれぞれ代用植物を用いて祭儀を行っていた様である。

ところで、ソーマ(ハオマ)の原料となる植物は『リグ・ヴェーダ』でも『アヴェスター』でも高山で生えているものらしく、又、アーリア人の故郷が中央アジアである事から中央アジアの何処かで自生していたものと思われる。

アーリア人の間で非常に重宝されたソーマ(ハオマ)の原料となる植物は何かという問題は古代世界の大きな謎の一つだと思われるが、この点の探求に関しては、日本の学者よりも欧米の学者の方が熱心の様である。

さて、研究などによりソーマ(ハオマ)の原料となる植物の候補として挙げられているのは、私が知り得た限りでは、以下の通りである。

 

①エフェドラ

 ハーブ系の植物。漢方では麻黄とも言う。乾燥地帯で自生する。エフェドラに含まれるエフェドリンはカフェインと類似の効果があり、副作用もカフェインに似ている。尚、エフェドリンはアルカロイド系の物質である。又、多くの面でアドレナリンと類似しているとも言うが、アドレナリン程、強度ではないとも言われている。エフェドラは19世紀後半頃まではイランのゾロアスター教徒の間でハオマとして使用され、又、インドのパールシー教徒(インドにおける古代のゾロアスター教徒の末裔)にも輸出されていたらしい。

②大麻(カナビス)

 麻に含まれているカンナビノイドが多幸感などの陶酔作用をもたらす。大麻は古代世界では多用されていた様である。

③キノコ類

・ベニテングダケ(Amanita muscaria

 毒キノコの一種。幻覚作用を引き起こし、シベリアのシャーマンの間で愛好された。

Psilocybe cubensis

 マジックマッシュルームの一種。

 

 

この他にも幾つか候補がある様だが、いずれも決め手に欠いているのが実情である。とは言え、こうした謎の探求は知的好奇心を擽るものがある。