声が、聞こえたような気がした。

 嬉しそうで、楽しげな、不吉な言葉を綴る声を。

 止めないといけない、と思っても身体は動かない。

 ――ああ、そうか…。

 私は、夢を見ているんだ。

 だから、身体は動かないし、それを見ることも出来ないんだ。

 誰の声だろう――心当たりは、ない。

 でも、どこかで聞いたことがあるような、そんな気がして。

 また声がした。


「見つけたよ、見つけたの!これで――」


 あの、少女の声に似ていた。

 楽しげに笑いながら綴られた言葉は幼い少女のもの、あの駅で見た少女の霊の。


 ――ああ、ではあの子はあの女の子供ではなかったのだ。

 漠然と、では何故あんなにも嬉しそうなのかと疑問が湧いてくる。


「同じ目にあわせてやるんだよ、だって――私は生まれて来たかったんだもん。

 ママとずっと一緒にいたのに、ママと一緒にいたかったのに!」


 楽しげだった声が泣き声に混ざってどんどん大きくなって、最後には叫んでいるような声になって――そして私の意識は途切れた。


 少女の声が、思いが、私の心臓を握りつぶしそうに苦しかったから――。