Uender the Rose~秘密の花園~第42話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります






チチチ・・・・




「・・・・・・・」





チュンチュン・・・♪


ピピッ!





「・・・・・、ん・・・?」


小鳥の鳴く声で目が覚めたおいらは
薄らと瞼を開いて周りを見回してみる


すると濃いカーテンのかかった窓から差し込む朝陽が
部屋の中に一筋の光を作り出していのが見えた

その光の中にはキラキラと小さく輝きながら舞う光の粒が見えていて
ベッドの上からその情景をぼんやりと見ていたおいらは
目覚めたばかりの頭でまだ夢の世界を彷徨っているのかと思ったんだ・・




「・・・、ふぅ・・・」




(おいら、いつ寝ちゃったんだろう?
 何だか凄く長い夢を見ていた気分だな・・・)




おいらはゴロンと窓に背を向けるように寝返りをしてみる
すると寝返りをした先のおいらの枕元に
1輪の薔薇の花が置いてある事に気が付いたんだ






!!?
「翔さん!?」



おいらはその花を指見た瞬間一気に目が覚めた
そしてその薔薇の花をそっと手に取ってみる




(もしかして、翔さんがここへ来たの?)


(眠っているおいらの元へ?でもどうして・・・)




「・・・・・・・・・」



おいらは薔薇の花を見つめながらそっと問いかけてみる

分かってるよ・・
答えが返って来る筈なんてないって・・


でも何故だかか分からないけど
その薔薇の花はおいらの質問に答えてくれるような気がしたんだ




「ねぇ・・翔さんは今でもあの人の事を想い続けてるの?」



「おいらが翔さんを癒してあげることは出来ないのかな・・?」





キラキラキラ・・・



「!!!?」


おいらがそう言葉にした時
赤い花びらが一瞬キラキラと光り輝いたように見えた


おいらはその輝きを見た瞬間ベッドから慌てて飛び降り
近くに置いてあったバスローブを急いで羽織りながら部屋を飛び出した






。。。。。。。






パタパタパタ・・・・・






「はぁ、はぁ・・・」




どうして?

どうしておいらは今こんなに急いでるの?





「はぁ・・はぁ・・・っ、はぁ・・・」




ううん、違う
本当は分かってる・・・


おいらがなぜ今こんなに急いでいるのか・・



だってさっき見えたような気がしたんだ



哀しい瞳をした翔さんが
あの温室に一人ぽっちで立ち尽くしている姿が・・





「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」





その姿が見えた瞬間怖くなった


だって翔さんがおいらの前から消えてしまうような気がしたから





「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・っ!」





だから、行かなきゃ・・


あの温室に・・・





「はぁ・・っ!はぁっ!はぁ・・」





翔さんが・・


おいらが来るのを待っている筈だから・・・





。。。。。。。。。。。。





おいらは自分の部屋を出た後長い廊下を一気に駆け抜けると
ステンドグラスから差し込む光が綺麗な色を落としている螺旋階段を掛け降りた

大きな屋敷のロビーは相変わらずシンと静まり返っていて
おいらの走る足音と荒い息遣いだけが部屋の高い所で木霊している



「・・・・・・・・・・」



やがておいらの前に見える玄関の大きな木の扉を両手で押し開くと
ガチャリという音と共に眩しい光がロビーの中に入り込んできて
おいらの後ろに長細い形をした人影が出来た・・

おいらは青い空を見上げながら荒い息を整える
そしてそっと中を振り返りロビーに誰もいない事を確認した後
静かに扉を閉めそのまま真っ直ぐ温室へと向かった




「・・・・・・・・・・・」



ジャリッ・・ジャリッ・・・



屋敷の角を曲がり噴水のある中庭を抜けるとやがて温室が見えてくる

おいらはその場所から目を逸らさずにまっすぐに歩いた

そして温室の前まで辿り着いた時
迷わずその扉を開けたんだ・・・






キィ・・・





!!!?
「えっ!!?な・・何?」




でも、おいらは温室の中を覗いた次の瞬間思わず目を疑った

だってあれほどたくさん咲き誇っていた薔薇の花達が





すべて無くなっていたから・・





!!?
「う・・うそ・・!?
 どうして・・?せっかく綺麗に咲いていたのに・・」




おいらは綺麗に刈り取られた温室の中をゆっくりと歩いてみる
そして前に勝手に触れ怒られた薔薇の花が咲いて場所までやって来た



「・・・・・・・・」


ふと足元を見ると刈り取られた時に落ちたのか
小さな花びらが数枚落ちているのが見えた








「コレ・・ここにあった薔薇の花びらなのかな?
 凄く綺麗だったのに・・おいらあの薔薇好きだったのにな・・」




おいらは落ちていた花びらを拾うためにその場にそっと蹲ってみる
そして落ちていた花弁を1つずつ拾っていると
すると急に目の前が暗くなっておいらの前に綺麗な革靴が見えた・・




!!!?


おいらはその場に蹲ったままで顔を急いで上げてみる
するとそこには翔さんが立っていたんだ・・



「あ・・・」



     『何をしているんだ?
      もう2度と此処へは来るなと言ったはずだが・・』



「・・・・・・・・・・」



     『それとも、俺のモノになると・・・
      覚悟を決めたのか?ふふっ、まさかな・・・』



「・・・・・・・・・」



翔さんは相変わらず冷たい口調でそう言い放った

でもおいらは気が付いたんだ

”今までとは何かが違う”って・・・


   
     『早くここからでて行け・・・何度も同じ事を言わせるな』



「・・・・・・。
 薔薇の花・・どうしたんですか?
 あんなに綺麗に咲いていたのに・・・」



     !?
    『お前には関係ない・・』



関係ない事ない!!
 だって・・だってあの花は・・・」



    『・・・・・・・・、
     あの花は・・?なんだというんだ?』



「あの花は・・・あの薔薇の花達は・・」



    『・・・・・・・・・・・・』



「翔さんの心そのものだった筈だから・・・」




    『!!!?』



「・・・・・・・」




そうだ・・そうだったんだよ

この温室に咲いていた薔薇の花達は
翔さんが今まで苦しんできた悲しみと流した涙の数だったんだ


おいら達とは違う時間の流れの中で感じ取った
愛と幸福に包まれていた頃の記憶


そして忘れたくても忘れる事の出来ない哀しい記憶・・









そんな誰にも言えない翔さんの想いが籠った場所がこの温室だったんだ・・





「ごめんね・・翔さん」



    『!!?』





おいら、知らないうちに翔さんの心の中に
勝手に入って行っちゃってたんだね


でももう大丈夫だよ


これからはおいらが・・
永遠に乙女で居続けることが出来るおいらが
深い悲しみに染まっている翔さんの心を抱き締めてあげるから・・・





「長い間、待たせて・・・」




    『智・・・お前まさか・・・』



「うん・・決めたよ?
 おいら翔さんの花嫁になる」




    『・・・・・・・・、いいのか?』



「うん、どうやらおいらに課せられている使命は
 貴方の心を癒す事みたいだから・・・」



    『俺の心を癒す?』



「そうだよ?
 あの時叶えることが出来なかった想いをおいらが叶えてあげる
 おいらがずっと翔さんの傍にいてたくさん愛してあげる・・」



    『お前・・それが本当にどういう意味か分かって・・んんっ!!?』



「くちゅっ・・・」




おいらはその時自分でも気が付かないうちに翔さんにキスをしていた

翔さんはおいらからの突然のキスに驚いていたけど
その大きな瞳の中が小さく揺れ動いたように見えたんだ・・・




     『ちゅっ・・・』




「は・・ぁ・・・」




    『いきなり・・何をするんだ』




「だって・・キスしたかったんだもん」




    『ふざけるな・・』




「・・・・・・、ふざけてなんかないよ?
 だっておいらは翔さんのお嫁さんになるんでしょ?
 だったらキスくらいいいじゃない・・・」



    『・・・・・・、さっきのあれがキス?ふざけるな・・・
     本当のキスはな・・こうするんだよ!?』



!!!?
「ぅ・・んんっ!!?」




そう言うと翔さんはおいらの頬を両手でそっと包み込み
グッと強く自分の方へと引き寄せると
熱い舌先をおいらの中へとそっと差し込みながら
深いキスをしてきたんだ・・