Under the Rose~秘密の花園~第31話 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります






「この森を出て行った人間は今どこに居る?」



すると次の瞬間
俺のその言葉に答えるように
黒い葉が波打つように揺れ始めた

俺は瞼をそっと閉じ帰ってくる返事を待つ

すると森の南の外れの方から
ザワザワと騒めく葉擦れの音が聞こえて来たんだ




「そっちか・・・」




俺はその音が聞こえた次の瞬間
暗闇に紛れることが出来るようにと高く舞い上がり
そして教えてくれた方角へ向かって一気に飛んだ・・・







。。。。。。。。。。








パカッ!パカッ!パカッ!パカッ!


パカカッ!パカッ!パカッ!・・・







鬱蒼とした森を抜けた先の道で
走り去る2頭の馬の蹄の音が聞こえる


俺はその音を聞いてこの馬に乗っている奴らが
あの人間をこの森に捨てた奴だと思った





「・・・・・・・・・・」




俺は高い上空からその2頭の馬に乗った人間を静かに追いかけ続けた




「ハイッ!ハイッ!!」

「ハイヤー!」


        <<ヒヒーーン!!>>







パカッ!パカッ!パカッ!パカッ!


パカカッ!パカッ!パカッ!・・・




何をそんなに急ぐことがあるのか分からない・・

でもその馬の背に乗った人間は手に持った鞭を
馬の尻に何度も当てながら薄暗い道を疾走している

しかも目を凝らしてよく見ると
馬は2頭だけどその背に乗っている人間は3人だった



手綱を強く握りしめ馬を操っているのは見慣れない鎧を着た男達だ
そしてその背に掴まっているのは薄汚れたマントを羽織った猟師が1人・・


!!?
「アイツ・・!?」


でも俺はそいつの姿を見て納得が出来たんだ

だってその猟師はこの辺りではならず者として有名な人間で
狩猟解禁前にこの森へと入っては
まだ小さな子熊などの密猟を繰り返していたから・・



「そうか・・アイツがこの人間達をあの場所へ導いたのか・・」




でも・その時俺の頭の中にふと疑問がよぎった



(一体どうしてあんな森の奥深くに置き去りにする必要がある?)


(どうしてあの人間はあんなに暴力を受けていたんだ・・?)


(どうして殺さなかった・・・?)





「・・・・・・・・」





俺は逃げるように走り去る3人に気付かれないように
身に纏っていた黒いマントで身を隠しながら夜の闇に紛れ
さっきよりも高い上空からずっと追いかけ続けた・・・




     ・

     ・

     ・

     ・

     ・



パカッ・・パカッ・・パカッ・・・



     ・

     ・

     ・

     ・

     ・




パカッ・・パカッ・・パカッ・・・

















。。。。。。。。。。。









やがて大きく2つに別れる道の手前まで辿り着いた男たちは
馬の速度を落とし始めそして2つに別れた道の真ん中で馬から降りた


「ふぅ・・・・」

「はぁ~」


     『いててて・・・ケツが痛いですよ旦那・・』




馬から降りた3人は其々顔を見合わせると
ニヤニヤとほくそ笑みながら話を始めたんだ・・




「よし・・もうここまで来れば大丈夫だろう」


「そうだな・・これで邪魔者は居なくなった・・と」


「あぁ・・そうだな。
 これでまた領地が増えてお喜びになられるぞ?」


「褒めて下さるかな?」


「当たりまえだろ。
 だってあの邪魔な”神の子”を村から追い出したんだぞ?
 まぁ、多少強引な事はしたけどな・・・ふふっ・・」


「ホントだよ・・。
 ”奇跡の泉”だって言われていた場所に
 わざわざ違う場所で汲んできた水を混ぜてさ(笑)」


「あぁ・・あれね?ふふっ・・
 でもまさかあんな事になるとは思ってなかったけど・・」




     『どうなったんですか?』




「え?あぁ・・村人たちはさ、
 ”治る”と思って信じて毎日飲んでいたけど
 一向に”治らない”から疑心暗鬼になって・・ね?」


「そうそう…。
 で、俺達がちょっと耳打ちしたら簡単に信じちゃった・・(笑)」



    『何て言ったんです?』



「<あの子は本当は”神の声”じゃなく”悪魔の声”を聞いたんじゃないか?>
 って言ってやったんだ・・ふふっ、あの時の村人たちの顔見せてやりたかったぜ」

 
「でもやっぱりとどめは・・」




    『・・・???』



「あの子は”魔女だ”って言葉だったみたいだよ?
 その言葉を聞いた瞬間皆の顔が変わったからな・・・(笑)」


「そうだったな・・あははっ!簡単なもんだぜ!人の心なんて・・」



    『で・・でも実際はどうなんです?』



「さぁ?そんな事どうでもいいんだよ
 俺達はあの村を手に入れることが出来ればいいだから」


「そうそう、其のためにお前にも高い金を払ったんだからな・・」



    『ふふっ・・、まぁ確かに私には別にどっちでもいいんですけど
     魔女であろうが神の子であろうが金さえもらえれば・・(笑)』 


      

「現金な奴め・・」


「さぁ、お喋りはこのくらいにしておこう
 ほらコレが約束していた金だ・・受け取れ!」



     『おっ!?』




そういうと鎧を着ていた男はその胸当ての中から皮の小袋を取り出し
そのまま猟師に向かってポイと投げる


ジャラッと重い音がしたその小袋を受け取った猟師は
「へっへっへ・・・まいど」とニヤニヤした口調で返事をした後
ソソクサと左の道へ走って行った



そしてその様子を見届けた男達は再び馬に跨ると
手綱を強く握りしめ右の道へと馬を走らせて行ったんだ・・・









。。。。。。。。。。。。。







「なんて奴等だ・・・」




俺はその場で交わされていた会話を全て聞き終えた後
何故だか無性にイライラとするを胸を必死で押さえながらもう一度森へと戻って来た

そしてあの人間がいた近くに降りたちそっと周りを確かめてみる
だってあの体ではそう遠くまで歩く事は出来ないだろうと思っていたから・・・





ジャリッ・・・





「あれ・・・?何処に行った・・・?」




俺はキョロキョロと周り見回しながらゆっくりと歩いてみる
でも何処を見回してみてもその姿は見つけられない


「おかしいな・・・!?」


すると一番最初に見かけた場所の大きな木の下で
パタリと力なく倒れている人間の姿を見つけたんだ・・・





「あ・・いた・・・」




俺はその人間から目を逸らさずにまっすぐ歩いてゆく
すると鼻を擽る甘い匂いが漂っている事に気が付いた



「・・・?」


フワリ・・・


フワリ・・・



と漂う甘い香りが徐々に強くなってゆく・・・

そしてこの香りの元はこの人間から発せられている事にやっと気が付いたんだ




「ん?あぁ・・そうか
 やっぱりこの人間から漂っていた香りだったんだ・・・」




俺は少しずつ足をその人間の方へと進めると
目の前で力なく倒れているその子の顔を覗き見た・・


そしてその首筋に鼻を近づけ
ある事を確かめるためにその香りを確かめてみる





「・・・・・・・・・」




(こうしてみると、結構整った顔をしているな
 白い肌に長い睫毛がとても綺麗だ
 あぁ・・唇の端が切れて血が出てる
 それに手も足もあちこち傷まみれじゃないか)




クンクン・・・



「ん・・・?」




(それにまだ”乙女”と来たか・・)




「ふふっ・・」




(いいだろう・・面白い
 このまま俺が連れて帰ってやる
 ちょうど退屈してたんだ、いい暇つぶしになるだろう・・・)





俺は木の下で倒れているその人間の身体をそっと持ち上げ
クタリと横たわったその子の身体を自分の腕の中に抱き抱えながら
フワリと宙に浮きキラキラと大きな月の輝く夜空を静かに舞った・・・