シリウスへの翼~瑠璃色の雫~#26 | 青い天使のアトリエ*嵐*山love♡妄想小説*

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J事務所所属、気象系グループさんの名前をお借りして
腐った妄想小説を書き綴っております
主に山コンビメインですが他のCPもあります


     「そんな・・・?ジャンが・・・・嘘だ」



松岡さんの話を俯いたまま黙って聞いていた大野さんは
細い肩を小刻みに震わせ掠れた声でそう呟いた

     
     『だが、どうやらジャン1人の犯行ではなさそうだと言う事も分かった』


「どういう事ですか?」


     『言っただろ?死後2週間くらいたっている・・と』


「・・・・・?」


     『ラザルの身体には無数の傷がついていた。
      だがその傷跡には時間の誤差があるらしい』

「誤差?」

    
     『致命傷は胸にあった傷1つだけだったらしいんだが
      あとの傷は違う刃物で刺されていたらしいと言う事が分かったんだ』


「じゃあ、犯人は2人って事ですか?」


     『そうかもしれないし、もしかしたら複数犯かもしれない・・・』


「・・・・・・、そうなんだ
 大野さん・・・?大丈夫?」


真っ青な顔をして震えている大野さんは
ジッと1点を見つめながら何かを考えているようだった

 
     『とにかく、ラザルは間違いなく死んだ。もう何も怖がることはない
      これで日本へ帰る事が出来るよ?智くん・・・』

    
     「はい・・・」


「大野さん?どうしたの?嬉しくないの?」


     「う・・・ん・・・、あの・・・松岡さん」

     『なんだ?』

     「ジャンはどうして捕まったの?」

     『あぁ・・・』


「・・・・・・」


     『ジャンが捕まった時、実は彼自身も血まみれで
      返り血なのかそれとも自らの血か分からないほど傷ついていたらしい』

     「!!?」

     『来ていた服は破れ、体中痣だらけで肋骨2本にはヒビが入っていたそうだ
      そして決め手になったのはジャンが握りしめていた血の付いたナイフ・・・
      そのナイフを握り締めたまま近くの街を彷徨っていたのを警察が保護した』

 
     「・・・・・」


     『保護したとき、 
      ジャンはある事をずっと呟いていたとその時保護した警察官が言ってた』


「何を言っていたんですか?」


松岡さんはちらりと大野さんを見てから
暫く考えた後、ゆっくりとその言葉を口にした


     『・・・・・・・。
      サトシに・・・手を出すな・・・と・・・』



        !!!!!?




     『・・・・・・・・』


     「・・・・っ・・・く・・・、うぅ・・・ッ」


「大野さん・・・」


     「バカ・・・ジャンのバカ・・・ッ」


俺の横に座っていた大野さんはそう呟きながら
両手で顔隠して声を出さずに泣いた・・・

俺と松岡さんはそんな大野さんを
泣き止むまで黙って見守り続けたんだ





。。。。。。。



「じゃあ、日本に帰る準備が出来ましたらまた連絡します」

     『あぁ・・・頼む。あの・・大野君』

     「はい・・・」

     『大丈夫、もう何も心配いらないよ?』

     「・・・・・」

     『もう悪夢は終わったんだ、これからは新しい夢を見るんだ・・いいね?』


     「はい・・・」


「・・・・。さ、行こう?大野さん」


     「うん・・・」


「松岡さん、今まで本当にありがとうございました」


     『いや俺の方こそ、君たちに出会えてよかったよ』


「じゃ・・また・・・」


     『あぁ・・・またな』


     「ありがとうございました、松岡さん」

     『大野君も元気で・・・』

     「はい」


俺と大野さんは松岡さんにお礼を言った後
イタリア領事館を後にした



。。。。。。。。。。。


気が付けば深い秋の風が街を駆け抜け
気の早いショップではクリスマスに向けてのイルミネーションを飾り始めている

俺は松岡さんとよく待ち合わせに使っていたカフェのオープンテラスで
いつもの様にエスプレッソダブルを注文し
久しぶりに日本に居る和へ電話を掛けた
もうすぐ大野さんを連れて日本へ帰るよと報告しようと思って・・・


PPPPP

   
     「はい、二宮です」


「もしもし・・・?あ、和?元気にしてる?」

  
     「え!?潤くん!?どうしたんだよ!?
      ずっと連絡してたのに!
      全然返事帰してくれないんだもん・・・」


「ごめんごめん・・・ちょっと忙しくしてて」

     
     「そうなんだ、良かった・・・何かあったのかと心配してたんだ」


「大丈夫だよ、ありがとう
 そっちはどう?何か変わった事はあった?」


     「え?あぁ・・・別にコレと言って変わりないよ?
      みんな元気だし・・・相変わらず仕事ばっかで忙しくしてる」


「そうなんだ・・・、翔さんは?あれからどう?」

  
     「ん、翔さん?あぁ・・・翔さんはもう大丈夫みたいだよ?
      相葉さんのおかげでちょっとずつ元気になってきてるみたい」


「・・・?相葉さんのおかげ?
 それどういう意味?」


     「え?あぁ・・・あの2人付き合いだしたんだよ・・・」


!!!!?
「なっ・・・・!?いつから!?」


     「ん?え~っと、2~3カ月くらい前じゃないかな?
      相葉さんが強引に翔ちゃん家に押しかけて
      そのまま一緒に住んでるって言ってたから・・・」


「一緒に?住んで・・・?」

 
     「うん・・・。毎日ラブラブみたいだよ?
      もう聞かされてるこっちが恥ずかしいよ、相変わらず相バカで・・・ふふっ


「・・・・・・」


     「あ、それより大野さんの事何か分かった?
      こっちではもう無理なんじゃないかって噂が・・・」


(・・・・・・・翔さんと・・・相葉さんが?
 一緒に住んでる・・・?しかも毎日ラブラブ・・って・・)


     「もしもし・・・?潤くん?もしも~し・・・」


「・・・・・・?
 え?あ、あぁ・・・あの、大野さんは・・・」


     「もしもし?聞こえないよ?もしも~し・・・あれ?」


「大野・・・さん・・は・・・・」


     「潤くん?聞こえてる?もしもし?」


「・・・・・・・・・」


     「潤く~ん・・・お~いっ!?」


「ん?あぁ・・・。
 ごめん、ちゃんと聞こえてるよ?
 大野さんは・・・・まだ見つかってないんだ
 俺も頑張って探してるんだけど・・・」
     
     
     「そう・・・どこにいるんだろうね?
      一目でいいから逢いたいよ」


「そうだな・・・
 じゃ、また電話するよ・・・」

     
     「うん分かった、じゃ頑張ってね」


「うん・・じゃ・・・」



ピッ





「・・・・・・」



どういう事だよ・・・
何で翔さんと相葉さんが一緒に住んでるんだよ
しかも毎晩ラブラブ・・・?


冗談じゃないよ
お前たちの知らない処で大野さんがどれだけ辛い思いをしてきたか
知らないからそんな事が出来るんだ・・・


「くそっ・・・」


翔さんも翔さんだよ・・・
押しかけられたからって・・・一緒に住むか?
毎晩・・・てのは嘘だとしても
でも間違いなく身体の関係はあるんだろうな・・・



バンッ!!



翔さん・・・
あんた一体何やってんだ?

大野さんの事・・・・忘れたのか?
死んだっていう噂を最後まで否定し続けて欲しかった
俺が無事に大野さんを日本へ連れて帰るまで
大野さんの事を信じて待っていてほしかった・・・

これじゃ大野さんが可哀想すぎるよ
一体何のためにあの辛い日々を耐え続けてきたんだ・・・

全ては貴方に逢いたいために
翔さんの事を愛しているから頑張って耐えてきたのに・・
その翔さんが・・・大野さんを裏切った


「・・・・・・、許せない
 たとえ大野さんが翔さんを許しても、俺は許さない」


テーブルを強く叩いた衝撃で
エスプレッソが入っていたカップが倒れてしまった
中に残っていた黒い液体が白いテーブルにゆっくりと染みを作っていく
俺はその様子を見ながらまるで自分のようだなと見ていたんだ

従業員の人が慌ててタオルを持ってやってきた
俺は「ごめんなさい」と声をかけそのまま席を立つ


「・・・・・・、さむっ」


通り過ぎる風が一層寒く感じた
もうすぐ冬がやってくる・・・
その前に貴方を日本へ帰してあげようと思っていたのに・・・
俺は、どうすればいい・・?