このMOSキャリパには昔から出回っている噂があります。
アルミピストン仕様と鉄ピストン仕様はキャリパボディのピストンシール溝の寸法が違うから中身を入れ替える流用はできない。
この噂、実は嘘じゃないかと。
わざわざボディ側を専用品にするくらいならそもそも専用品になってしまうピストンとシールだけで帳尻を合わせるのが合理的。
ググると寸法違いますって書いてあったりするんですけどね。
誰も計測した結果は載せていない。
ちなみにちょっと面白いことを見つけました。
MFJの国内競技規則の付則、ST600の技術仕様で当該ピストンの交換が明記されています。
YZF-R6はMOSのアルミピストンが標準ですが鉄ピストンに交換することが許容されています。
(面白いことにシールはアルミ仕様のものを使え、との指示になっています)
競技規則にこんな具体的な個別事象が記載されていることに驚き。
で、もうちょっとググると事情がわかりました。
ピストンの熱容量がアルミだと少なくてすぐに温度が上がりフルードが沸騰する、そして線膨張係数が大きいのでブレーキタッチの変動が大きい。
限界を攻めるようなレースだと致命的。
さすがに不公平となったのか例外的に交換が許可されている模様。
同様にCBR600RRも鉄ピストンへの交換が許容されています。
何とレース業界では鉄なんです笑
閑話休題。
よくわからないことは自分で確かめてみる。
これはとても大事。
なのでシール溝の内径を計測してみます。
準備したのは↓のような内径計測治具。
アルミ板にダボとボルトを配置。
ボルトには大きめのワッシャを取り付けています。
このワッシャがシール溝に収まります。
ダボがピストン穴の一般面に接触。
ワッシャが対岸のシール溝内径に接触する仕組み。
ダボは長穴に固定されていて位置を調整できます。
シール溝の内径を直接測るのは難しいけどこの方法で概ねピストン穴直径+シール溝の片側深さが計測出来ます。
計測方法はシンプル。
あらかじめダボを適当な位置で固定。
ワッシャ→ダボの距離をノギスで計測。
これを↓の写真のようにワッシャがシール溝に収まるようにセット。
ワッシャ→ダボの距離が短ければスポッと収まりますし、長ければダボが引っかかって収まりません。
ダボの位置を調整して何度かトライするとスポッと収まるギリギリの距離が求められます。
ダボがギリギリ収まる感覚は『ようかんを切るような』の表現がピッタリです笑
複数回計測して0.05mm程度のバラツキはあるものの治具の確からしさからすると計測誤差の範疇だと思います。
ただもう1点確認が必要なことに気付きました。
ワッシャの高さを変えると寸法が変わるっぽい。
(同じ高さどうしだと同じ寸法)
もうちょっと検証してみます。