1. Welcome
2. Apart
3. Motion
4. Expect
5. Now Time
6. Oh, Why
7. Await
8. Fragile Hope ★


USのチルウェイヴ/ウィッチハウスプロジェクトの1stフルレングス。


非常に、生々しく仄暗く、暖かみのあるアルバムである。

チルウェイヴはシンセサウンドを基調とし、ローファイで安っぽい質感で夢見心地な世界観を演出するジャンル(のことだと思っている)。

ウィッチハウスはそのチルウェイヴの派生系らしく、ウィッチという意味合いから魔女のように暗く耽美な質感を持った音と想像するに難くない。

でもって、Alec Kooneという人のプロジェクトであるBalam Acabは、そういう意味ではウィッチハウスという単語が実にしっくり来る音楽性である。


シンセの音を幾重にも重ね、ミニマルなビートトラックと水音や人の声などをサンプリングし吐き出す。

絶えず揺らぎ続けるような音世界は、蠢いているようにも聴こえ、まるで生き物のよう。

加え、曲から漂う雰囲気は深海の底で漂っているかのような心地を生む。

明確な起伏はないのだが、とろみのある水音のようなビートトラックのおかげで、退屈しない。

とは言え、この手の音に耐性がない人には結構きついとは思う。

そういうあやふやで繊細なトラックの上を、子供だったり男だったり女だったりの歌がゆらゆらと漂う。

その音像は亡霊のようで、仄暗く、容赦がない。

基本はダブステップを経由した重たく這いずり回るようなトラックなのだが、突如それが喪失し、眩いシンセが爆発したりと音使いが素晴らしい。

中でも白眉物は、水滴の落ちる音が徐々にドラムマシンに変わっていくM-8.。

グリッチノイズや人の吐息を帯び、終わる頃には非常にメロディアスなエレクトロニカに変貌している。

いやあ、これはすごい素晴らしい曲ですよ。

水の音が耳に心地よく、終わってもM-1へと繋がる仕組みが◎。


ここ最近、狂ったように聴いています。

寝る前に聴くとゆらゆらと水の底に漂っているかのような気持ちになれ、安眠できます。

ほんのり謎めいた神秘性を漂わせるのもいいですね。

難点は8曲37分程度と結構短いこと。

Boards of Canadaのように、もっと壮大な感じの作品にしてくれても良かったとは思う。

ただそれは「もっと聴きたかった」というニュアンスなので、マイナス点ではないんですけどね。

後、ヘッドホン推奨音楽ではあります。


(2011年発表)


満:★★★★★★★★★★ (10/10)

薦:★★★★★★★★ (8/10)