灰かぶりの魔女の猫 2話 | 青ノ鳥宝箱店

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※この物語はフィクションです。


足あと


 酒場にいる大男は酔い心地で酒をあおっていた。


 寒い時は、酒を飲むに限るらしい。


 特に麦酒を好む。


 大男は酔いつぶれる風でもなく、いつまでもちびちび


と酒を飲んでいた。


 そして考え事もしていた。


 大魔女のことである。


 ここ数年、大魔女についての情報はおろか、見かけた


者もいない。


 それが先日急にこの都の大祭前になって情報屋から


情報が入ってきた。


「妙だな・・・・・・」


 男はそう独りごちる。


 そこへ、アッシュが慌てて酒場に入り、大男の隣の席


に座った。


 外の冷気が入ってきて、酔いが冷めてきた。


「おまたせ!また、こんなに飲んでたの?」


 アッシュは鼻の頭を赤くしながら大男に話しかける。


 大男は黒いローブ(ぼろきれ)をかぶり、紅い瞳をの


ぞかせて、アッシュをみやる。


「いつものことだろ?お嬢さんはどうした?」


「店が、かなりいそがしくなってて、遅くなるってさ。ほら、


寒くなってきてるから風邪とかさ・・・・・・」


「ああ、俺は北の方出身だからなんともないが、そうだ


な、そんな季節だ」


 アッシュは温かいココアを頼み、少し腹にたまるように


ミートパイを一切れ頼んだ。


「なあ、オプスキュリテ。君は、夜は得意だろ?」


 名前を呼ばれた男は、がははと笑い、まあなと答える。


「得意も何も、俺の商売を知っているだろう?」


「ああ、知っている。なんというか・・・・・・よくわからない


商売だよな。闇商人?というのか?」


「くくく、行商人と表ではやっているが、いかにも!闇商人


だな。通名もそうだが、あれでバレバレよ」


 オプスキュリテは大笑いした。


 アッシュは、オプスキュリテの通名を思い浮かべて、確


かにその通りだと納得していた。


「闇のベールの狼。おもしろいだろ?」


 オプスキュリテは笑いながら、麦酒をあおる。


 よくそんなに酒が飲めるな、とアッシュはオプスキュリテ


の飲みっぷりに驚いていた。


「で、その情報屋の情報は確かなの?」


 ようやくきたココアを一口のみ、アッシュはオプスキュリテ


に探るように聞いた。


「!ああ、確かだと思う。なんせ、相手も俺相手では嘘は


つけんだろうし」


「・・・・・・?」


「酒の席では、俺が絶対的に有利なんだ」


「そっか。そうだね、ものすごく納得がいったよ」


「まあ、ここ数年光脈からでる光の量が増えているし・・・


・・・変だとは思っていたがな」


 オプスキュリテは、はあっと息を吐いた。


 オプスキュリテの言う、光脈とは、夜にでるわずかな道


案内のような光の筋である。


 オーロラのように輝き、行商人、もしくは闇商人はよく


夜に動くため、それを頼りに街から街へと歩き渡るので


あった。


「そんな感じだ。お前には耳寄り情報だったな」


「ああ、いいチャンスだ。僕はずっとある魔女を探して


いるからね」


「大昔から言ってたよな。それ、どういう魔女なんだよ?」


「教えられないよ。闇商人さん」


 そこでオプスキュリテはがはがはとまた笑い。


「確かに。俺に言ったら、すぐ情報屋に売られかねんか


らな」


 といって、また麦酒をあおっていた。


「さて、パレードが始まっちまうな。行くか?」


 オプスキュリテは目覚まし機能付きの懐中時計の小さ


な音に気づき、アッシュに言った。


「うん。行こう」



 

 彼らは、いよいよ大祭前のパレードへと繰り出した。


 夜も更け、混雑している大通りを歩くと、白い雪が降っ


てきた。


 人々の熱気が高まって、いきなり賑やかな夜になっ


ていく。






 ここまで読んでくださり、ありがとうございます星


 また、楽しく書いてみましたφ(.. )


 また、ちょこちょこと書くと思うので、よろしくお願いしますキラキラ