ナチスは憎い!!
ヒトラーは憎い!!
そして、未だ十代だろうと、ヒトラーやナチスに何の疑いも無く共鳴して忠誠を誓ったヒトラー・ユーゲントも憎いのかもしれない!!
(サウンド・オブ・ミュージックの長女の恋人のように…)
でも、だからといって、大人の犯した罪を子供たちの命で贖わせなければならなかったのだろうか??
”ヒトラーの忘れもの”
”ナチスドイツが降伏した後の1945年5月、デンマークの海岸にドイツ軍が埋めた地雷を撤去するため、ドイツ兵の捕虜が投入される。
まだ幼さの残る10代の少年兵たちを監督するデンマーク軍軍曹ラスムスン(ローランド・ムーラー)は、徹底して彼らをこき使おうとする。
だが、少年兵たちは誤爆や撤去作業の失敗で次々と命を落とし……。”
シネマトゥディより
確かに自国に何百万と埋められた地雷は、誰かが撤去しなければならない。
でも、だからといって、よりによって、ただただ家に帰りたいと願うばかりの、幼顔の残るあの少年たちに、こんな過酷なことをさせたのか…。
そして更に虐待を加えたのだろうか…。
いや、多分、これは戦勝国からナチス親世代への見せしめだったのかもしれない。
いや、きっとそうだったのだろう。
地雷撤去に動員された少年兵約2000人の半数が、命を落としたり手足を失ったという。
映画の中では、監督官であるデンマークの軍曹が、ナチスへの憎しみを越え、上官とぶつかりながらも、少年たちへの約束を守るところで終わる。
でも、これはあくまでも映画の中のお話。
現実はどうだったのだろうかと思うと、本作のストーリー自体の中に本当の救いは無いように思う。
ただ、何人ものこういう監督官が実際にいてくれたかもしれない、いてほしかった、いただろう…、そんな願いでこの映画は作られているのだと思う。
そして、この事実を歴史に残し、二度と同じ過ちを起こさない、こんな悲劇を二度と起こさない、そんな祈りを込めて、本作は作られているのだろう。
そこにこそ本作の救いはある。
その意味で、本作が当事者であるドイツ、デンマークの合作であることは、本当に素晴らしい
あくまでも美しく広がる砂浜と海。
そしてあまりにも対照的な少年兵たちの過酷すぎる作業。
なかなかキツイ作品だったけれど、こういう事実の映像化はとても大事だと思った。